continuous phase
innocence・日向 / 早乙女 / 月宮
「随分と意地悪するのね」
「ソウデスカァ?」
「そうよ~、もう一寸緩めてあげてもいいんじゃない?」
「それじゃ意味ないだろ、学園時代はそろそろ過去のものにしてもらわないといけない」
「えー?龍也、そんな事言ってー。自分のこと棚に上げすぎ~」
「は?俺が?俺じゃなくて、お前だろ、お前!現場に女生徒用の制服でやって来てた癖に」
「だってー、可愛いじゃない~。今の流行の走りだったのよー」
「それは今だから言えることだろ…」
「リューヤさーん、頭痛いですねー」
「オヤジ、誰のせいでこうなったと思ってんだよっ」
「ハッハッハー、ノープロブレム!」
「問題大有りだわ!」
「龍也~、そんなに怒ってばかりいるとはげるわよー」
「お前も黙ってろ!」
「…マァ、少しはぁ、彼らなりに”やる気”はサムシング!見せて貰わないとイケマセン」
「別に、あいつらは仕事はしっかりしてるだろ。確かに多少失敗はあるが」
「ノンノーン、そうではアリマセーン」
「何が言いたいんだよ」
「…彼らにはまだまだ愛が、足りない」
「?そう?ラブソングを歌っても、若さっていいわよねっ、な可愛らしさはあるわよ」
「…約一名、可愛らしさじゃない者が居る気がするが…」
「えー?アレは”背伸び”。可愛いじゃないー」
「…そうか…お前にはそう聴こえるんだな…」
「龍也~、心狭いー。そんなんじゃ、Sクラス教えられなくなるわよ~」
「リューヤサン、感受性は豊かに保ってクダサーイ」
「…お前ら、そう言う所では共闘するのな…いい加減にしてくれ…」
「ハッハッハー、兎に角、出来上がりを楽しみするデスゥ。…合わせて彼らのサムシングな変化、もね…」
日向龍也は、出来上がった曲と歌詞の書かれた用紙に目を落とす。
(随分なやり口だな。本当に先が思いやられる…。)
作曲は七海春歌。
作詞は…。
この歌詞を書いた人間の顔を思い浮かべて、深く溜息をついた。
まだまだ、その力が衰えていない事をしみじみ実感する。
才能が枯れる事があるとすれば、それは進む事を止めた時だろう、そう思う。
(俺も負けてられない…っか)
言葉に馳せず心の中で呟いて、日向龍也は気合を入れ直した。
これから先の芸能活動、そして自分たちに続くアイドル達を育て上げる。
その事への「覚悟」も含めて。
作品名:continuous phase 作家名:くぼくろ