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グリザイアの果実SS

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ん? ……アイツは何をしてるんだ?
蒔菜「ふーんふふふ~ん♪ ふーんふふふ~ん♪」
…………。
雄二「蒔菜、何をしてるんだ?」
蒔菜「お、パパだったのよさ!?」
雄二「……」
この慌てぶりは、また何か企んでいたな……。
雄二「みちるの持ち物に盗聴器でもつけているのか?」
蒔菜「な、なんでわかったのよさ!」
雄二「……ふむ。それで、何を盗聴する気なのだ?
どうせまたみちるの宇宙人説などであろうが。
蒔菜「チルチルってば、実は宇宙人の諜報員だったのよさ!!」
雄二「ほう。なぜそう思った蒔菜よ」
蒔菜「この前、チルチルってば一人でこんな事をしてたのよさ……」


2日前――――。


みちる「うぅ……うがぁああああああっ……があぁ……」
ビクビク(痙攣)。
みちる「ぐがががががッ………ガガガがッ!」
ビクビクビク(全身痙攣)
みちる「う、ぎゃあああああああああああああああああッ!」
ビクビクビクゥッ!?

蒔菜「――という事があったのよさ!」
雄二「……なるほど」
蒔菜「きっとチルチルは異星人と交信していたのよさ!」
確かにみちるならば、そうしていたとしてもおかしくはない。
なにせ自称UT(嘘ツンデレ)。
雄二「奴ならば確かに電波の一つや二つ軽いものだろうな」
蒔菜「だから、それを確かめる為に仕掛けているのよさ!」
雄二「蒔菜よ、それはこう使うんだ」
口で説明し見本を見せ、そして実践させる。
蒔菜「なるほどなるほど……」
やはり蒔菜は記憶力が常人とは段違いだ。
雄二「ふむ、また一つお前は賢くなったぞ!」
蒔菜「サーイエッサー!」
雄二「もう一度やってみろ、蒔菜」
ガサガサ、ゴソゴソ……
蒔菜「サーイエッサー!」
雄二「よし、完璧だな新兵!」
蒔菜「カンペキなのよさ! であります」
敬礼も、中々様になってきているな……。
雄二「よし、それでは一ニ:○○より、作戦を開始する!」
蒔菜「了解であります!」
俺と蒔菜は敬礼を交わした。

――数十分後。

蒔菜「あ、チルチルが来たのよさ!」
雄二「では予定通り、松島みちる調査開始!」
俺と蒔菜は壁から様子を窺う。
みちる「…………」
通常通りだな……。
いやしかし油断は出来ない。
監視に於いては一瞬の油断こそが禁物なのである。
蒔菜「チルチルってば、中々交信しないのよさ……」
雄二「蒔菜、監視は長期戦だ。一瞬足りとも気を抜くな!」
蒔菜「イエッサー!」
その時。
ゴツン!
蒔菜が敬礼しようとして、肘が壁に当たってしまった。
みちる「え……っ!?」
みちる「…………(キョロキョロ)」
みちる「気のせいね、多分……」
蒔菜「ふぅ……」
雄二「監視対象に刺激を与えるの禁物だぞ?」
蒔菜「ごめんなのよさ……」
雄二「みちるのような間抜けでなければ、
   俺達は今頃蜂の巣だったぞ……」
良かった、アホで。
雄二「…………」
蒔菜「…………」
みちる「(キョロキョロ)」
雄二「なぜあんなに周囲の様子を窺う……?」
蒔菜「きっと交信場所を探しているのよさ!」
あれほど挙動不審だとその説もありうるな。
蒔菜「チルチルなのに……意外と用心深いのよさ……」
雄二「奴が本当にスパイだとすれば、
   アホの振りをしている可能性もある」
蒔菜「……!? 確かになのよさ!」
……引き続き、監視続行。
しかしみちるの奴、なぜあそこまで不審な動きをするのだ。
蒔菜「うぅ……焦れったいのよさ……」
雄二「これが監視なのだぞ、蒔菜よ」
蒔菜「確かに難しいのよさ……」
みちる宇宙人説はともかく、あの警戒ぶりは確かに気になるな。
蒔菜「……あっ!」
雄二「どうした蒔菜!」
蒔菜「チルチル、今口の中に何か入れたのよさ!」
確かに凄い勢いで水流し込んでいるが……。
蒔菜「アレもきっと交信に関わる薬なのよさ……」
雄二「錠剤だったのか?」
蒔菜「薬っぽかったのよさ」
蒔菜「きっと時間酔いしない為の薬なのよ!」
時間酔い防止の薬?
それは交信にはいらないだろう。
雄二「もしかすると奴は……」

蒔菜「待てぇーーーチルチルぅぅっ!」
みちる「え……」
蒔菜の体当たり。
みちる「うがぁ……ッ!」
鳩尾へ命中。
みちる「…………っ」
雄二「以前教えた事をちゃんと憶えていたのか蒔菜……」
蒔菜「チルチルさぁ大人しくゲロるのよさ!」
みちる「………………」
昏倒していた。
蒔菜「もう意識だけが向うに行ってしまったのよさ……」
蒔菜「一歩遅かったのよさ……」
みちる「ぷはぁっ!?」
みちる「ちょ、マキナ!? 何すんのよぉ!」
蒔菜「さぁ大人しく吐きやがれなのよさ!」
みちる「ちょ、そんな振るなぁ! く、首絞まってるつーのぉ!?」
蒔菜「どんな情報を流していたのよさ!」
みちる「(ガクガクッ)」
雄二「蒔菜よ、吐かせる時は適度に痛めつけるのがポイントだぞ」
みちる「ちょ、アンタも止めなさ――」
蒔菜「あ……」
雄二「……」
再び昏倒してしまった。

蒔菜「散る散るになってしまったのよさ」
雄二「それがユーモアという物なのか蒔菜よ……」



作品名:グリザイアの果実SS 作家名:園寺 司