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えんどう さや
えんどう さや
novelistID. 3569
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ざまあみろと笑う彼女はどんな笑顔より

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わからない。
心底わからない。
その無根拠な自信はどこからくるのだろう。

「なによ」

ごく当たり前のように。それが自然現象みたいに差し出された手を他人事のように見つめて相手を見た。もう四千年は変わらないと思われる外形は今日も誰よりも童顔で変わりなく、最近誰よりも成長著しい彼は自信ありげに笑ってそこにいた。

「おめーが渡す相手は我しかいないあるからな。さっさと我に渡すよろし」
「あぁ、日本式バレンタインね。だけどお生憎様。うちにそんな習慣はないわよ」
「我の所でもねえある」

この糞爺。
よくもまぁいけしゃあしゃあと言うものだ。

誰だ。この時期に日本なんかで会議を開いた奴は。日本、日本か。そして誰だ。休憩時間にせっかくだからチョコレートを見てこようなんて言った奴は。ハンガリー?湾?それともベルギーだったか。本当誰だ。予定もないし別にいいけどなんて了承した奴。あたし?あたしか。なんてことしたんだあたし。

悔やんでも悔やんでも悔やみきれない。本当なんてことしたんだあたし。が、あるものはある事には変わらない。甘いものは女の子の大好きなものなのだ。どんなに年をとったって甘いものは最大の敵にして最大の味方。

「ふぅん。そんなにチョコレートが欲しいなら湾に貰えばいいじゃないさ。ま!貰えればの話だけどね」
「うっ…うるせーある!どうせおめーの事ある!誰にも渡す相手がいなくて自分の分しか買わなかったオチあるね!可哀相だから我が貰ってやるあるって言ってるあるよ!!」
「……ほぉ…」

同情かよ。よけいなお世話だクソジジイ。まったくもってご名答だがどうしてそんなに恩着せがましく言われにゃならんのだ。

少し離れてこっちを見ている香港やマカオが中国に対して『そりゃないわ』と哀れみの視線で見ているなんて気付いちゃいない。こいつらと思いギロリと睨み付けると『やっべ!』とばかりに各々夕食会の輪の中に消えていった。

「中国。アンタこれ欲しいの?」
「どうしても言うなら貰ってやるある」
「OK。じゃあどうしても、じゃないからあげない」

控え目に包装された包みを開けて小さな一粒を取り出した。たくさんあってもと思ったから二粒入りのものしか買っていない。元々小腹が空いたらという程度に買ったのだ。
それをパクリと一口。

「おまっ、なにするあるか!それ我のあるよ!」
「なにが誰のだ。あ、おいしい」
「ふざけんなある!!我のチョコレート!」
「そっちこそなにふざけた事言ってんのよ!あ、こら!その手を離しなさいよクソジジイ!!」


【ざまあみろと笑う彼女はどんな笑顔より輝いて(中*越)】