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奪ってマイバニー

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「今夜は帰しませんよ」
 そうバーナビーがドラマみたいなセリフを言うのと背後から抱きしめられたのはほぼ同時ぐらいだった。酔っているせいか折角のイケメンボイスもヘナヘナで、残念ながら俳優の様に決まらなかった。直前にバーナビーが床に転がしたビール缶が3本目で、その前にワインボトルを空にしている。自宅だからって羽目を外しすぎじゃないか思ったが、抱きつかれてようやく、酔った頭でも察することができた。
「んじゃー泊まっていこうかな」
「本当ですか!?」
 首だけ振り返ると子供みたいに期待に輝く瞳とかち合って、帰さないんじゃなかったのかよと苦笑が漏れる。
「だって最近虎徹さんつれないから。娘さんと電話したいから、とか、見たいテレビがあるからとか言って帰るし。もう、飽きられたのかと思ってました」
 切々と語るバーナビーの瞳に浮かぶものを見つけて、虎徹は最近の行動を思い返して少しだけ反省した。ちょっとしたいたずら、意地悪のつもりだったのに、バーナビーを思いつめさせる事になっていたらしい。けれど、物分かりのいいお前も悪い、と虎徹は胸の内で嘯いた。
「バニー…なにも泣くことないだろ」
「泣いてませんよ!」
 その明らかな嘘に、虎徹はバーナビーが涙を拭いている間に身体ごと振り向いて抱きしめてやる。バーナビーの椅子は大きめの一人掛けだが、二人用では無いので動けばさすがに怪しげな音を立てた。よしよしと背中を撫でて、ふわふわの髪も弄って、額にキスを落とす。まるで子供をあやしてるみたいだなと急におかしくなってくる。
「……お父さんなんて呼びませんよ」
 見透かす様に泣いて赤らんだ瞳で睨まれて、虎徹は堪らず噴き出した。
「俺だってんな趣味ねぇよ」
「キスなら、こっちがいいです」
 言うなり顎を取られて、虎徹は噛みつくようなキスを受けた。応える合間にバーナビーの眼鏡を外して、虎徹は伸しかかられるまま椅子の背もたれに寝転がる。逃がさないとばかりに強く握られた腕の拘束に充足を感じて、身震いする身体は随分欲していたようだ。
「バニー、好きだよ」
「…っ」
 バーナビーの唇が首筋を辿る隙に囁けばぴたりと動きが止まって、余裕の無い表情で見下ろされる。酔いと発情して赤く染まった顔は、成人済みの男なのにかわいいと表したくなる表情で。
(だからバニー、いつまでも従順じゃだめなんだよ)
作品名:奪ってマイバニー 作家名:くまつぐ