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がんばれ!はやぶさ

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「はやぶさ、0点!」

「ウララ~またナカガワ先生に怒られちゃった、ミネルバちゃん」
「がんばって、ハヤブサ。みんな期待してるのよ」

 地球を離れ、小惑星イトカワから岩のかけらを採取してくるミッションを受けた探査機はやぶさ。華々しいアメリカの有人ロケット、負けまいとするロシアや中国のロケットたち。それに比べて地味で予算もなく、無駄づかいと非難される日本のロケット事業。そんな中でも頑張るスタッフに、はやぶさも奮起した。

「♪おいらはロケット~探査機だけど~思い込んだら命がけ~」

* * * * *

 イトカワに着陸するも、最初は失敗。探査ロボットのミネルバも失ってしまった。
「ミネルバちゃーん!」
「だいじょうぶ。私もイトカワと一緒に太陽のまわりを回るだけ。一緒にあなたと地球を見守ってるから…」

ようやく2度目で着地に成功、それでもカプセルに必要なサンプルを採取できたかは判らない。1度目の着地失敗時に相当なダメージを受けていたのだ。帰還の旅でも燃料漏れや通信不能、様々な困難が待ち受ける。

「一押し二押し、三に押し~押してダメでも押し破る!」

* * * * *

 艱難辛苦を乗り越え、もう少しで地球にもどってくるはやぶさ。
しかしがんばり過ぎたため中の電池が3年も耐久時期をオーバーしてしまった。
「地球だ! 地球が見えた!」
きちんとサンプルの入ったカプセルを切り離せるか、砂漠に落下しても信号は出るか、まだまだ気は抜けない。

「イ~オンエンジン 宇宙(そら)飛んで どっこい負けるかはやぶさ根性!」

* * * * *

 満身創痍で、そして…大気圏突入3時間前、エントリーカプセルを切り離す。成功! サンプルは地球へ。

「イトカワのかけら、うまく砂漠に着くかなあ…ナカガワ先生、いっぱい失敗しちゃったけど、怒らないかなあ。ウララ~」

その時、ナカガワ先生からの通信が届いた。熱く震える声で。
「よくやった! はやぶさ、100点、いや、500点、1000点だ!」
ナカガワ先生は最後のミッションを出す。カメラを地球に向けて、
撮影すること。その目で見届けて、そして。

 宇宙に夢を託すみんなを見守ってくれ、と。

* * * * *

 大気圏突入。はやぶさは燃えあがった。まばゆい光を放ち、火の鳥になった。そして…

(えへへ、1000点だって。ミネルバちゃん!)
(ね、だいじょうぶだったでしょ。おつかれさま)


 はやぶさは無事にサンプル…イトカワのかけらを届けた。
そして多くの人に勇気と感動と希望を与えたのである。


「デンデンガンガンほいデンガン がんばれはやぶさ~デンガラガッタデンガラガッタ~♪」


     ・・・おしまい。
作品名:がんばれ!はやぶさ 作家名:JIN