紳士と魔法使い
「悪かったな、遅くなって」
「・・・どこかの野郎の邪魔が入って二年、更にそいつの遺志を継いだ奴の妨害にあって一年。それが終わったと思ったら"アイツ"がいなくなってどんちゃん騒ぎだ。俺も仕事が凄いことになってな」
「ああ、『生き残った男の子』・・・いや今は『選ばれし者』、『英雄』といった方がいいか?アイツにはあったぞ。そのご友人にもな」
「しっかし鬱陶しそうな顔してたぞ最初・・・何度も何度も同じ話を話し飽きたんだろうな、可哀想に。
しょうがねぇからいうつもりはなかったが俺とお前の関係と俺の正体、っていうほどでもねぇが、いっといた。どうせお前も奴にはいってたんだろ?特に隠すことじゃねぇしな」
「・・・で、お前とは色んな話をしたけど、どんな花が好きとかは知らなかったから、ほら、俺の国花だ。有難く受け取れ」
「これをみるとあの忌々しい残念な隣国の髭を思い出してな・・・ああ、こんなところでそんな愚痴はいいか。お前の弟にでも聞けばよかったな。あとで挨拶してくるよ」
「・・・・・なんでだろうな」
「正直に言うと、俺は泣くと思ってたんだよ。お前とは長い付き合いだ。お前が学校を卒業してからはお互い忙しい身であまり逢えなかったっつぅのを含めても、それでも人間との付き合いでここまで長かったのはお前ぐらいじゃねぇか。無駄に長生きだったからなぁお前」
「でも、ドジやらかして、他人の為に死ぬなんて、お前らしいな。命を狙った奴をかばって、忠実な奴を傷つけて」
「最低だ。偽善的で最低なお前にふさわしいよ」
「さっさとくたばっちまえばよかったのに」
「・・・本当に」
「馬鹿」
「ばか」
「・・・・・もうヴォルデモートみたいな奴は俺が出させねぇ」
「魔法使いとマグルが分かり合えるなんてことはいわねぇよ」
「ただ、・・・ゴドリックとサラザールのイザコザは、俺が、終わらせる」
「魔法使いたちにマグルの理解者を増やす。少しずつ、だが確実に。
時間がかかるが、どうも当分俺もそっちにいけそうにねぇからな、時間だけはたっぷりあるんだよ」
「さすがのお前でも其処からは手出しできねぇからな」
「指くわえて見とけ。俺の成す偉業を」
「ざまぁみろ狸爺!」
『天使とは美しい花をまき散らす者ではなく、苦悩する人のために戦う者です。』 フローレンス・ナイティンゲール