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落葉する季節 - リライト版 ゴーストハント 完結記念小説-

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2-5



「つまんなーい!」
事の顛末を事実のみ簡潔に報告したところ、タカのぶーたれた声に一蹴される。

十月某日水曜日。
件の学園祭から三日後のオフィス。
文化祭準備が免除されているにあたしも、さすがに打合わせには捕まり、月曜日はバイトに来れなかった。火曜日はタカが学校の用事でバイトに来れず、今日になった訳だ。
おかげでいい感じに焦らされたタカはずいぶん妄想していたらしく、バイトに来たとたん質問攻めだった。

「はぁぁ。そうそう周りに素敵なロマンスはないのねー」
意気消沈のタカは、モップにもたれてクニャンと背を丸め、溜息。
人のネタであれだけ遊んでおいて。と思わなくもないが、夏の一件であたしがかなり落ち込んでいたのを知っている友人は、ああ見えて心配してくれていたんだろう。
お礼を言うと調子に乗るから、直接は言わないけれど。

所長がいない日常に少し慣れて、表面的には好きの気持ちが落ち着いてきていたところに、やっぱり切なくて、大切で、消えない想いが自分にはあるとハッキリした日曜日。
そして最後に、ちょっとだけ気になる言葉が残った一件だった。

「だからさ、あたしは当分恋愛はいいんだってば。そりゃさ、素敵な人があたしを想ってくれていたら、嬉しいけど」
タカは、掃除しながら聞いてくれている。
「それより今はさ、所長様が帰ってきた時にちょっとは使える奴になっておきたいから」
こうして大切な人を知ることも出来たのも、きっかけはどうあれ、あたしの生活を思ってナルがバイトを持ちかけてくれたことに他ならない。
「それにね!」
ここは強調しないと。
「バカにせずやさしく教えてくれる上司がいるって、すごく仕事が楽しいのよ」

「あははは!」
静かに聞いていたタカも、ついに吹き出す。
あたしも笑いながら、正体を知っても変わらずに今は留守の所長のことを言える、みんなのやさしさに感謝する。
やっぱりこれも、恥ずかしいから面と向かっては言わない。