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2/14 末っ子サンジ

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昼食が済み、サンジは食器洗いに追われていた。
いつものようにウソップが手伝おうとしたのだが、
今日は何故だかそれを拒まれた。


「お前一人じゃ大変だろ?」

「・・・今日は大丈夫!!」

こういった気遣いに敏感で、
優しさを全力で受け止めようとするので断るのは珍しかった。
でも、だからと言ってやはり一人でやらせるには量が尋常じゃない。
なので何度か言い合いを続けたのだが、まるで折れそうにないサンジにとうとうウソップが折れた。

「んーー、じゃあ大変なら言えよ?」

「分かった。」

「よろしくなサンジ。」

コクリ


サンジを気にしながらもウソップはダイニングを後にする。
ウソップが出て行ったのを確認したサンジは、素早く腕まくりをする。

服を一着しか持っていなかったサンジは洋服を皆から借りていた。
そのため裾は結ぶし、袖は長い。いたるところがだるんだるんだった。
それでも、出来るだけ汚さないよう頑張っていた。
だが、今日はなかなかよごさないようにするのは大変だ。


サンジは昨日の夜に男部屋でこっそりエプロンを探した。
そして良いものを見つけた。
キッチンに隠していたそれを取り出し身に着ける。


「よしっ!!!!」

スペースを確保出来るように半分程食器を洗い、
時間を確認すると違う作業に取り掛かった。


気持ちをこめて
気持ちをこめて・・


ルフィはでっかく。

ぞろは酒の味。

ナミさんはオレンジ入り。

ウソップは普通の。

ロビンさんは苦めの。

チョッパーは甘めの。



(あとは冷やすだけ。)

パタリと冷蔵庫を閉め、サンジはニッコリと笑う。
渡すときのことを想像するとワクワクした。


(喜んで・・くれるかな。)


続きの食器を洗い始める。
それが終わるとすぐに夕食の仕込みをする。
そしてそれも済むとそろそろ――




サンジーーーおーやーつーーー!!!!!



外で呼ぶ声がする。
ここに1日居たってサンジを忘れる人は居ない。
イコール腹が減ったということだとしても、
それでもたまらなく嬉しい。



だから今日は・・

大好きなみんなに・・・




冷蔵庫から取り出したそれらはちょうど良く冷えている。
そっと取り出してそれぞれをお皿にのせる。

ルフィありがとう。ぞろありがとう。
ナミさんありがとう。ウソップありがとう。
ロビンさんありがとう。チョッパーありがとう。

みんなありがとう。
だいすき。

美味しく出来てますように――





ルフィが飛び込んでくる前にダイニングの扉を開け外に出る。
扉を開けた瞬間甘い香りが溢れ出した。


「おっおやつか!!!!??」

いち早くルフィが反応する。
その声に皆が反応する。

サンジは皆に向かって大声で言う。


「・・・は・・ハッピーバレンタインッッ!!!!!」


なんだか恥ずかしくて目を閉じてたのだが、
返事が返ってこないので不安になり、少しづつ目を開ける。
するとそこに居た人達は皆固まっていた。

心なしか顔が赤い。



「・・・・?」



「ヤバイわ。」

「ある意味危険ね。」

「ナミさん?・・ロビンさん?」


「サンジ・・・」

「お前・・・」

「チョッパー?ウソップ?」


「くそ・・」

「ぞろ?」


「ニシシシシお前って・・」

「ルフィ?」


みんなどうしたの?
なにかまずいこと・・した?

サンジは今にも手に持っているチョコを落してしまいそうなほど、
頭がグルグルと混乱してしまっていた。

だが、そんなサンジの混乱は杞憂だった。



「「「「「「マヂで可愛すぎだっ!!!!!!!!!!!」」」」」



「・・・・・ぇ?」


全員嬉しくてたまらなかった。
サンジがかわいくて仕方なかった。

そっとロビンがサンジからチョコレートの乗ったお盆を取り上げる。
するとそれを合図に皆がサンジに向かって突撃してきた。

「「「「サンジーーーーー!!!!!」」」」


「うっわぁあっっ!!!!!」



サンジは皆にギューーっと抱きしめられた。
苦しかったが、サンジは自分が思っていた以上に喜んでくれたことが嬉しかった。
と言ってもまだ食べてもらってはいないけれど。
抱きしめてくれる皆を抱きしめ返すように一番近くのチョッパーを腕をギュッとする。


その様子を嬉しそうに眺めていたロビンが隣に居るゾロに話しかける。

「ゾロはいいの?」

ゾロはお前こそ、と言い掛けてやめる。
ロビンの手はちゃんとあの輪の中に居て、サンジの頭を撫でていたから。

「・・・俺はこっち。」

ロビンが持っていたチョコを一つ取る。
誰がどのチョコかは、すぐに分かった。

ゾロが手にしたチョコ、それは剣の形をしている。
自分の腰にあるものよりか太い剣で、
なんだかまるで本の中の勇者が使っていそうな――


今度、俺の剣をよく見せてやろう・・なんて思いながらチョコを口に入れる。
口にした瞬間、自分の好きな酒の味が広がり顔が綻ぶ。


「花より団子ね。」


「いや、そうでもねぇよ。」


「・・・あら、」



いい加減苦しさの限界からサンジが逃げ出した。


「ぞろーーーーーー!!!!」




「良いとこ取りね。」

ゾロは黙ってサンジをキャッチすると抱えて逃げ出す。

「あっこらゾローーー!!!!」

「弟返せーー!!!」

「サンジーーー!!」

「俺のサンジーーー!!!」


チョコレートの存在をすっかり忘れサンジに夢中な面々がゾロを追いかけようとするが、
ロビンがそれを引き止める。


(ハッピーバレンタインサンジ。)


「皆、このチョコレート、私がもらっていいのかしら?」

「「「「食べるなっっ!!!」」」」



ちょっと見てっ蜜柑の形よ!!

麦わらだーーーーーっ!!!!!

私はお花ね。

見ろ俺のは桜の花びらだぞっっ

なぁこれ・・・なんだ?

鼻じゃない?

嘘だろぉぉぉぉぉお!!!???



美味しいっっっ!!!!

うんめーーーーーーー!!!!

最高の味ねっ

うまくてほっぺた落ちそうだぞぉぅ!!!

とろけたぞっっっ!!!!!







うまかった。
ありがとな――――








来年も作るっ

ハッピーバレンタイン!!!











・  ・  ・  ・  ・



「ところでお前それ・・・俺の腹巻じゃねぇーか!!!!?」


「・・・・うん。」


「・・・チョコだらけじゃねーか・・。」


「・・・・・ごめんなさい。」




「・・・・・・・・いや、いい。もうそれはやる。」



「いいの?」


「あぁ。」


「ぞろとお揃い!!」





「・・・・・・・・///」

end
作品名:2/14 末っ子サンジ 作家名:おこた