二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
はろ☆どき
はろ☆どき
novelistID. 27279
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

ロイエドメモ詰め合わせ-2

INDEX|1ページ/1ページ|

 
【泣けなかった子供の話】
―声を出しなさい。と黒髪の大人が言った。
―声を出さずに泣くのはとても苦しいことだから。だから声を出して泣くんだ。赤ん坊になったつもりで泣いてごらん。
そう言われて初めて自分が泣いているのに気づいた。気づかないうちに歯を食いしばって堪えていた。こんなに胸が苦しい。

どうしていいかわからなくて見上げたら、あいつが悲しそうな目をしてオレを見てた。
なんで、あんたが、そんな顔。
―君が苦しそうに泣くのを見るのが辛いんだ。
そう言って自分の胸にオレの頭を引き寄せた。掴んだ指が少し震えていた。
それでオレはわかったんだ。この人は声を出さずに泣く苦しさを知ってるんだって。きっとどうしようもなくそんな風に泣いたことがあるんだって。
そう思ったらオレは泣くことができた。大声を出してわんわん泣いた。あんたの胸にすがって泣いた。

いつかあんたが泣きたくなったらオレが泣き場所になってやるから。
だから今はちょっとだけ、あんたの胸を借りて泣く。ありったけの大声をあげて。枯れるまで涙を流して。
20120209

◇◇◇◇◇◇

【泣かないと決めた子供の話】
目を閉じて、深呼吸して、顔を上げて、そしたらもうオレは泣いたりなんかしない。
すぅと息を吐いて目をしっかり開いて前を見据える。
「泣かない」
言葉に出して言ってみた。

立って歩け。前に進め。
オレにはあんたのくれた言葉があるから。
20120131

君はまるでいずれ訪れる瞬間に少しでもショックが少なくて済むよう、傷口を自らえぐり少しずつ広げている手負いの獣のようだ。
そんな瞬間は訪れないからと嘘でも告げてそっと目を塞いでやることはできるけれど。

―立って歩け。前に進め。
お前にはその立派な足があるじゃないか。
いつかの瞬間に目をそらさずきっと自ら立ち向かうことができるだろう。
その鋼の心で。
20120205

原作の印象的なあの言葉が元はロイがエドにくれた言葉だったらいいという妄想

◇◇◇◇◇◇

【恋を知ってしまった子供の話】
昔から一つのことが気になると他に目が行かなくなる質だった。やりたいこと、やるべきことがある時は脇目も振らずに没頭した。

今だって、オレ達の―アルフォンスの体を元に戻すこと。それだけが唯一のやるべきことで、何に変えても成し遂げたいことだ。アルフォンスのことだけを考え、アルフォンスのことだけを見て生きていた。

だから他の人間に興味を持つなんて、ましてや恋愛感情を持つなんてことがあるはずがなかった。起きるはすがないと思っていた。

それなのに、何故、どうして。
彼を―好きになどなってしまったのだろう・・・
20111218

◇◇◇◇◇◇

【それでも幸せになった子供の話】

男に抱かれるということがどういうことなのか、エドワードにはよくわからなかった。
自分も男なので漠然といつかは女性を抱くことになるんだろうかと思ってはいたが、それも現実的に思えたことは一度もなかった。
幼なじみに淡い想いを抱いていたこともあったがそれはごく幼い頃のことで、ロイに出会ってからは気づいたらもう彼を好きになっていたので、女性に対して素敵だと思ったりどきどきすることはあっても肉欲を覚えたことはなかった。

けれどロイのことを間近に感じた時や遠く離れた地で彼のことを想う時、エドワードはどうしようもなく身体が熱くなったり、彼に触れたり触れられたりしたいと思った。
自分がロイを抱くというのは想像がつかず、体格差も考えると自分が抱かれるんだろうかと真面目に分析してみたりしては、我にかえって気恥ずかしさに一人身悶えるようなこともしばしばあった。
自分はおかしな性癖なんだろうかと悩んだこともあった。

だけど今、彼に好きだと告白され抱き締められた瞬間、ああこの人になら抱かれてもかまわないと自然に受け入れてしまったことが不思議で・・・けれどとても幸せで。
今とても幸せだと言ったら、ロイがあんまり嬉しそうに笑うものだから何故だか涙が溢れてしまった。

君が自分が抱く側がいいと言い出したらどうしようかと内心ずっとひやひやだったんだ、とずいぶん後になって男は苦笑しながら教えてくれたが、その頃にはそのことで悩んでいたことすら忘れていた。
今そっちがいいって言ったらどうするつもりなの、といたずら心で聞いてみたら、神妙な顔をして、「君がどうしてもというのなら心の準備は出来ているつもりだ。他の者で試して欲しくはないが、普通の幸せを奪ってしまったのだから君の望みは出来る限り叶えてあげたい」などと言うものだから、オレは不覚にもちょっときゅんとして・・・そして少し悲しくなった。

そんなこと思ったことないくらいオレは今幸せなのに、普通の幸せをなんて言ったらオレこそロイの幸せを奪ってしまってるかもしれないのに。
でもそんなこと言ったらロイはきっと悲しむだけだから、オレにできることはオレがロイの側にいるからこそ幸せなんだってことをもっと感じてもらえるようにすることなんだろう。

それがどうすれば伝わるのかわからないので、ひとまず今はロイのうつむいた頭を抱き抱えて髪をくしゃくしゃっと乱し、彼がよくしてくれるようにつむじにキスをした。
そしたらロイが甘えるみたいに抱きついてきたので、オレは嬉しくなってそのままロイの髪をすいたり頭をなでたりしてやった。
しばらくそうしてたらなんだか楽しくなってきて、ロイもそうだったらしく二人してくすくす笑い合っていた。
20120101

◇◇◇◇◇◇

隙間なく触れ合って求め合って同時に絶頂を迎え、余韻をもて余したまま二人してシーツに埋もれて抱きしめ合っている時のなんとも言えない気持ち。
あの幸福感を言葉にして伝えることができたなら。エドワードはそう何度も思ったものだったけれど、その想いは結局いつも言葉という形にならないまま、流れ星のように一瞬にして宙を舞って霧散していった。
そして今となってはこれから先はその幸福を味わうのは別の人間なのだと考えたら、人目を憚らず往来で泣き出してしまうのではないかと思うほど深い悲しみに囚われた。
「いい大人がバカじゃねーの・・・」
言っている側から鼻の奥がツンとなり目頭が熱くなるのを感じた。

******

想いは今でも自分の胸の内にある。
星屑のように降り積もったこの想いを拾い集めて彼に贈ろう。精一杯の言葉にして伝えよう。
たとえもう心が遠く離れてしまっているとしても、告げないままでは自分は一歩も前に進めないだろう。
あんたの心の片隅に僅かにでも引っ掛かって光ってくれるかな。
“オレの中の一等星”

【想いは胸の奥で積もり星のように輝いていた】

きっと告げられた彼の中では特等星―
20120131

◇◇◇◇◇◇