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蜜の過剰摂取による自業自得の責任転嫁

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白と黒の猛禽が会話をしている。その声はライオンに届いているが内容はまるで頭に入ってこない、興味がないともいう。その上で別のことに気を取られていた。
 もしや、まさか、と思う内容は目前の2羽のことで、それ故に彼等から眼を離せない。ライオンなら御免蒙りたい雪と氷の上に暮らす猛禽の、片や体型が判断し難い服装のシロフクロウ、片や身体の線が分かり易い服装のオオワシ。だからといってそれだけで断定するわけにもいかないだろう、ライオンは首を捻って唸る。
「どうしたの……きゃっ」
 そんなライオンに気づいたのかシロフクロウが顔を覗き込んでくるのでこれ以上は考えても無駄、と彼女をひょいと持ち上げてみた。知っての通りにその身体は軽い。
「何をやってるんだバカ猫……うわっ!?」
納得したのでシロフクロウを下ろし、食ってかかってくるオオワシを同様に持ち上げたところでライオンは顔を顰めた。知ってはいたが軽過ぎる。鳥は軽いもの、とシロフクロウに言われたがこれは納得出来ないので言わせて貰う。
「おまえ、女より軽いってどういうことだよ」
やっぱり何かの病気なんじゃねえの、と考えてみるライオンは一帯の空気に罅が入ったことに気づかない。
 ここで言う女、とは比較対象になり得ない哺乳類のオカピやバーバリーシープではなく、小さ過ぎて比較すら出来ないヤマネでもない。当然ながら同じ鳥類のシロフクロウに限定される。ザザザ、とオオワシの顔が一気に青褪めた。
「い、いや、鳥なら女性の方が大きくても珍しくも何ともないからきっとそのせいだ」
「はあ? どう見てもおまえの方がシロフクロウより身長あんだろ」
「寝坊して朝食を抜いたんだ!」
「寝惚けながら魚とか齧ってたぞ」
「いいから話を合わせろそして下ろせ!!」
 このバカ猫が、と続いたかも知れない言葉はその背後に迫る殺気にも似た怒気に押し潰される。
「オオワシ」
「ひぁいっ!?」
強い握力を以って後頭部を掴み、櫛通りの良さそうな髪を容赦なく引いてライオンから奪い取るシロフクロウと、痛い痛いと泣いて訴えながらも捨てられない恋慕のせいか恐怖のせいか、単に女を殴れないだけなのか知れないがとにかく抵抗も出来ないオオワシを見て、ライオンはようやく失言だったらしいことに気づく。
「飛べもしないくせに私より軽いなんてどういうことかしら? 私を太らせてどうするつもり?」
「そ、そんな、俺のせいじゃな……」
「貴方が可愛いから、美味しいからいけないのよ」
「理不尽だ!!」
シロフクロウはそのままオオワシを引き倒し仰向けにしてしまうと、輪状の猿轡を取り出した。
「鮭が好きなのよね。私が食べさせてあげるわ、嬉しいでしょう?」
その後の展開が読めてしまったので猿轡がオオワシの口唇にかかる前にシロフクロウから彼を取り上げる。公開調教の原因が自分の失言だなど本気で嫌だ。
「あー……、バーバリーシープよりは軽いぞ?」
「体重2桁の哺乳類と比べないでちょうだい」
ライオンを睨むシロフクロウの手には圏が握られている。
 面倒なことになった。別にライオンはシロフクロウが女だろうと殴れないわけではなく、オオワシと同等か少し弱いだろうと考えられる彼女に応戦して退けることも出来る。出来るのだがシロフクロウに限らず女を殴ったあればオオワシが煩いだろうし、ついでにレッサーJr.は確実に煩い。前者はともかく、大人しい顔をして厳罰を科してきたりうっかりで永久投獄にしかけたり、挙句にどういう解釈かライオンが何かやらかしたらオオワシまで国外追放しかねない後者がどんな対応をしてくるのか分かったものではない。なのでシロフクロウと一戦交えるのは避けるのが懸命だろう。そうなると、
「あ、待ちなさい!」
 逃走しか選択肢が残されていなかった。
 担がれたままのオオワシは始終、カタカタと震えていたとかいないとか。