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Needless to say

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平澤たちエデンの仲間と、いろいろなことができそうな気がして、俺はわくわくしてきた。咲の仲間が、俺の仲間にもなりつつある。記憶を失ってから初めて、俺は自分の居場所みたいな、出発点みたいなものを、みつけた気がしていた。


「滝沢くん」
咲が俺に話しかける。
「ん?」
「なぜ、あの時、ウチに来いって言ってくれたの?あの時、まだ、平澤くんたちのこと、話してなかったのに」
咲は俺のほうを不思議そうに見ている。


俺は吹き出しそうになった。
(咲って、意外と天然!?)
咲はもしかして、俺のキモチ、気づいてないワケ!?
(キスもしたのになあ~)
俺は内心おかしかったが、咲があまりにもストレートにそんなことを聞いてくるので
「聞きたいの?」
と逆に問い返してみた。
(咲が好きだからに決まってるじゃん)
咲は、「え!?」といったまま、赤面している。


(コトバに出してほしいってことかな?)
俺は咲に向き直って、じっと顔をみつめた。
ますます咲は赤面していく。


(ああ、こんな赤くなっちゃって。これじゃあ、俺が好きだって言ったり、もう一回キスでもしたら、ぶっ倒れそうじゃん?)
俺は内心おかしてくしょうがなかったが、同時に顔を赤くしてドギマギしている咲の様子がかわいくて。

(チャーミングだよなあ)
俺はみっちょんのピチピチジャージを着ている咲に、もっと咲らしいかわいい服を着せてあげたかった。ジャージがきつくて、体のラインがはっきりわかるのも、かなりセクシーだったけど。そういう姿を他のヤツが見れちゃうのは嫌だったし。やっぱ、そういうのは、俺だけが楽しみたいからね。


俺はつるしの服の中から、彼女にあいそうな服を見繕って差し出す。
「これなんか、似合うんじゃない?」
春色のフリルつきワンピースを咲にあててみる。
(うん、似合う!)
咲も嬉しそうに、笑っている。
(かわいいよなあ)
思わず俺の顔がにやけているのがわかる。

さっきの自分の質問も忘れたように、咲は着替えてくる!と試着室に走っていった。


咲。
どうしてウチに来いっていったかって?
咲が好きだからに決ってるじゃないか。
咲を守りたいからに決ってるじゃないか。
キスして、それを伝えたつもりだったんだけどなあ。
俺、好きでもない子にキスするようなヤツじゃないぜ。
でも、こんなんで赤面してるようじゃ、困るなあ。キスの先に進めないじゃん。

俺は、苦笑しながら試着室から咲が出てくるのを待った。


「どうかな?似合う?」
しばらくして、おずおずとワンピースに着替えた咲が戻ってきた。
「うん、すっげ~、かわいいよ!!ばっちり似合ってる!」
「あ・・・ありがと」
咲はまた顔を真っ赤にして、でも嬉しそうに微笑んだ。
「みんなにも見せなよ」
俺は咲の手を取って、平澤たちが集まっている部屋へ向うエレベーターに乗った。


「咲」
「え?」
「もっとこっち来て」
「え・・・」
俺は咲の手を引っ張って、自分の横に立たせた。咲へと自分の顔を近づける。
「さっきの答・・・」
「あ・・・」
俺の唇が咲の唇に触れようとした手前で、
「わんわん!!」とマメ柴がほえた。
はっと二人でマメ柴のほうに顔を向ける。
エレベーターの出口のところで、マメ柴が俺たちを待っていた。
「やきもちか~!?」
俺はマメ柴を抱き上げた。マメ柴はしっぽをぐりぐり振って、俺の顔をなめる。
(キスしたかったのは、おまえじゃないんだけどな~)
咲はくすくす笑って俺を見ている。


(ま、いいか)
俺は、楽しそうな咲を見てうれしくなってくる。
(また、次の機会、にね)
マメ柴を抱いたまま、咲の手を取って、俺は平澤たちの待つ部屋へ向っていった。


作品名:Needless to say 作家名:なつの