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メイド・イン・ヘブン

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「ニューヨークの恋人」。それがあの映画のタイトルだった。滝沢くんが教えてくれた、ニューヨークの橋でタイムスリップするお話。メグ・ライアンとヒュー・ジャックマンのロマンティックSF映画。

DVDを借りてきて見てみようって話になって。滝沢と咲は豊洲の滝沢の部屋で映画を楽しんでいた。

過去からタイムスリップしてきたヒュー演じるレオポルドが、メグ演じるケイトに出会い恋をする。ケイトはニューヨークのブルックリン・ブリッジを通ってレオポルドを追って過去へ。だから二人は既に過去で出会っていて、レオポルドはそれを覚えていて、未来へタイムスリップしたときに、ケイトをどこかで見たことあるって思うわけ。タイムパラドックスっていうのかな、こういうの。
でも、難しい理屈は抜きにして、楽しい恋愛映画だった。ケイトが、自分が本当に大切なものが何か、悟るシーンは感動的。咲は映画がハッピー・エンドでほっとした。


「面白かった?」
滝沢が咲に聞く。
「うん!いい映画だったね。メグ・ライアンがすごくきれいだった」
そう答える咲の頭を、滝沢は優しくなでる。


「俺たちもさ・・」
「うん?」
「昔、どこかで会ってるんじゃないかな、俺と咲」


「え?」
咲は滝沢の方へ顔を向ける。
「ホワイトハウスの前でさ、初めて会ったとき、咲の姿がまっすぐに視界に入ってきた。それで、すぐに困ってるらしい咲を助けなきゃって思ったんだ。ごく自然に、ね。それからも咲と一緒にいることが全然不自然じゃなくて・・・。むしろ、咲と一緒のほうが当たり前って感じで・・・なんか、俺の中に咲の存在が刷り込まれていた気がして。インプリンティングっていうんだっけ、そういうの。」

「確かに、私も、滝沢くんと出会ってすぐ、滝沢くんがなくてはならない存在って思ったの。不思議だね。だって、初めて会ったとき、滝沢くん、かなり『異常事態』だったものね」

そう、初めて会った時、滝沢は素っ裸だった。携帯だけ持ってて・・・。それで、咲は自分のコートを彼にあげて。そのコートに咲のパスポートが入っていたことから、すべてが始まったのだった。

「///・・・」

咲はその時の状況を思い出して思わず赤面してしまった。だって、あの時、彼は素っ裸で・・・ジョニーが・・丸見えで・・・。


「さ~き~、何赤くなってんの?」

「えっ、何でもないの、ちょっと・・・」

「もしかして、俺のオールヌードを思い出してた?」

「ひゃあ!」

咲は言い当てられて。思わず両手を顔を覆った。

「ごめん、あの・・・だって、びっくりしたよ。初対面でいきなり、だもん。それにその後も警察官の前でいきなり、滝沢くん、ずぼん下ろして・・その、見せるんだもん、婦人警官に!」
「はははっ!だけど、俺のジョニーのおかげで、うまくいったじゃん?」
「そりゃ、そうだけど・・」
咲はまだ頬を赤くしながら思った。確かに素っ裸の青年といきなり出会って、それでその人のことすぐに信頼して・・・惹かれて・・・。恋愛としては、かなりレアなケースだよね、やっぱり。

(私にも、滝沢くんの存在がインプリンティングされていたってことかな?)

咲は滝沢の顔をそっと見る。
素っ裸の彼だったのに、全然怖くなかった、初めから。ヘンタイとかそういうんじゃないってことは、彼の澄んだ目をみればすぐわかったから。だから、彼の後を追って、彼に手を引かれるまま、一緒に行動することに、ためらいはなかった。むしろ、一緒にいると、安心できたの。不思議・・・。

咲はその気持ちを言葉に出してみた。
「ヘンテコな出会いだったけど、滝沢くんと一緒にいると、すごく安心できたの、私。もし、私たちが、過去に既に出会っていて、もう一度出会うためにワシントンでめぐり合ったなら・・・すてきだね?」
咲はにっこりと滝沢へ向って微笑んだ。
滝沢も彼女へやさしく微笑んで、咲の肩に回していた手に力を入れ、ぐっと彼女を腕の中に抱き寄せた。

「咲と俺って、メイド・イン・ヘブンなんだよ、きっと。そういう映画、あった・・」
「メイド・イン・ヘブン?」
「そう、天国で既に結ばれてたってこと。つまり二人が出会うことが決ってたってことさ。何回別れても、必ず結ばれる・・・」
「それも映画で見たのね?」
「うん、けっこう昔の映画なんだ。俺も名画座で見たんじゃないかなあ。ティモシー・ハットンとケリー・マクギリスが出てた」
「その映画、見てみたい」
「うん、俺ももう一回見てみたいな。今度DVD借りてこよっか」
「うん!」

(Made in Heaven・・・ステキな言葉・・・)
咲はすごく嬉しくなって、滝沢の肩にぴったりと頭をつけた。彼の体温が暖かい。とっても。滝沢はそんな咲の頭をやさしくなでてくれている。


「咲」
「なあに?」
「それで、咲のオールヌードはいつ見せてくれるの?」
「ええっ!!」
咲は滝沢の言葉にびっくりして、思わず彼から体を離した。
「だって、咲は俺の全裸みてるんだよ?俺のジョニーだって、ばっちり見てるし。不公平じゃない?」
咲は何も言えずに口をぱくぱくさせている。

「俺も咲を見たい。全部・・・」
ふざけているのかと思ったら、そう言った滝沢の目はけっこう真剣で・・・。
咲は、ごくんとつばを飲み込んだ。そして、決意する。

「わたし・・・いつでも、いいよ。今からでも・・・滝沢くんなら、全部・・・」
瞳をうるませて、咲は滝沢を見つめ返す。

「えっっ///!!」
今度は、滝沢が顔を真っ赤にして炎上する番だった。


作品名:メイド・イン・ヘブン 作家名:なつの