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二人のゴールデンリング 前編

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滝沢が豊洲に戻ってから、バージョンアップして再開した東のエデンで、彼は外回りの責任者として大活躍していた。何たって、有名人だし。彼の話はエネルギッシュで説得力があって。どうやら彼は人をまとめあげる才能があるようだ。咲も東のエデンのデザイナーとして、クライント先でプレゼンしたり、営業活動を手伝ったりしていた。

毎日が刺激的で楽しかった。もちろん、つらいことや、失敗もあるけれど。咲の毎日は充実していた。滝沢がそばにいることももちろん、咲の日々を張り合いのあるものにしていた。

そんなある日。咲は品川のクライアント先でプレゼンを終えて帰る途中、駅の階段から足を踏み外してしまった。
「いたた・・・」
足首をくじくか何かしたらしい。痛くて歩けない。
駅員が大丈夫かと寄ってきた。駅員がタクシー乗り場まで連れていってくれて、近くの病院までいくようにタクシー運転手に頼んでくれた。

病院での診断は足首のねんざ。しばらく休んでいれば、治るらしい。痛み止めをもらって飲んだら、少し足の痛みが薄らぐ。でも、このままじゃ、歩けない。松葉杖つくしかないかも・・・。医者は2,3日動かさないでいれば治るっていうから、松葉杖ってほどでもないし・・・。病院の待合室で料金を払うために会計を待っていた。その時、咲の携帯が鳴った。滝沢からだ。
「もしもし、滝沢くん?」
「咲?もうミーティング終わった頃だと思ってさ。帰り遅いから何かあったのかと思って。いま、どこ?」
(まるで、千里眼みたい・・・)
咲はちょっと苦笑しながら滝沢に状況を説明した。
「咲、すぐ行く。そこにいて」
「えっ?ちょっと。たき・・・」
しかし、既に滝沢は携帯を切っていた。
(迎えにきてくれるのはありがたいけど・・・)

15分ほど待ったろうか。病院前でビッグスクーターの音が聞こえた。
滝沢が病院のドアを開けて飛び込んできた。
「咲!!」
あまりの滝沢の大声に待合室にいた人達全員が一斉に彼を見た。
「た、滝沢くん、ここよ」
咲は赤面しながら手をあげた。
「咲、大丈夫か!?」
「大丈夫だよ、ねんざだけだから。2,3日大人しくしていれば・・・えっ!?」
滝沢はいきなり咲をお姫様のように抱き上げた。
「ちょ、ちょっと、滝沢くん///」
咲は真っ赤になりながらも、滝沢の顔がものすごくシリアスなのにどっきりした。

滝沢はそのまま咲をビッグスクーターまで運んでそっと後部席に乗せた。そして自分はかがんで、首に巻いていたマフラーを取って、咲の捻挫した足首の周りに巻いた。
「滝沢くん?大丈夫だよ、そんなことしなくても。湿布してるし、たいしたことないから・・・」
「たいしたことある!」
滝沢はそう言い切って、身を起こした。滝沢のいつになく激しい口調に、咲ははっとした。
「このまま乗っていられる?しっかり俺に捕まっていられる?」
「うん、大丈夫だよ、足首だけなんだから・・・」
そうと言いながら、滝沢はそっと咲の頭をなでた。
「送ってく」
滝沢はスクーターにまたがると、咲の腕を自分の腰にしっかり巻きつけさせて、発進した。咲は滝沢の背中にぴったりと寄り添った。


「着いたよ」
「あれ、ここ、豊洲・・」
自分のアパートではなかった。
咲は滝沢のほうをうかがうように見た。滝沢は無言のまま、咲のヘルメットをぬがせて、そのまま横抱きにして、咲を運ぶ。
「あの、滝沢くん?・・・」
咲は滝沢が無言なのが気になって、どうしたの?という目で滝沢を見上げる。
しかし滝沢は咲のほうを見ない。いつものように咲を見て微笑まない。
(どうしたのかな?)
そのまま滝沢は一言もしゃべらず、咲を自分の部屋のソファーの上まで運んで、そっと咲を降ろした。そして彼はくるっと咲に背をむけてしまった。

「滝沢くん?どうしたの?」
咲はわけがわからず、滝沢に問いかけた。
でも、まだ、滝沢は咲に背を向けたまま、立っている。

「滝沢くん?」咲はもう一度彼の名前を呼んでみた。
滝沢はふうっと息をはいて、咲のほうを向いた。
そして、咲の側にかがんで、膝をつき、咲の顔を見上げる。
「咲。」
「なに?」
「どうしてケガしたら、すぐ、俺に連絡しないの?歩けなくなっちゃってたのに。」
「あ、うん、ごめん。駅員さんが親切な人でタクシーに乗せてくれたし・・・滝沢くん、いろいろ忙しいから、余計な心配かけたくなかったから・・・」
「余計じゃない!!」
「え・・」滝沢が声を荒らげるのを聞いて、咲はびっくりした。
「咲より大事なことなんて・・・ないよ!」
「滝沢くん・・・」
「何かあったら、一番に俺に知らせてよ。俺は咲の彼氏じゃないの?」
「あ・・・ごめん・・・」
「咲が怪我してるのも知らないでいるなんて。俺、やだよ」
「あの、病院出たら、連絡しようと思っていて・・・」

咲は初めて見る滝沢の剣幕にどぎまぎして、うまく言葉が継げなかった。滝沢はふうっとまた息をはいて、咲の横に座った。そして両手で咲の肩を抱いて、すっぽり自分の身の内に包み込んだ。
「咲が怪我したって聞いて、俺、心臓が止まりそうだった・・・」
「でも、ただのねんざだよ。そう言ったのに」
「咲が痛い思いしてるのに、「ただ」なんてこと、ないよ」
「うん。ありがとう。ごめんね・・・」

「咲」
滝沢は咲の顔を両手で挟んで引き寄せ、額と額をくっつけた。
「今度何かあったら、一番に俺を呼んでよ。すぐに、だよ」
「うん、わかった」
「約束する?」
「約束する」

こんなに自分のことを心配してくれる滝沢の気持ちがうれしくて。咲は涙がにじんできた。
滝沢はそのまま唇を重ねた。息を継ぎながら、何度もキスを続ける。
だんだん咲の息が上がってくる。
でも、滝沢はキスを止めない。
そのキスがだんだん深くなっていく。

初めは唇を重ねるだけだったキスが、吸い込むようなキスになって。滝沢の舌が咲の唇を、口の中をなめとるように動く。

「あ・・・」
今まで経験したことのないような情熱的なキスに、咲はどう応えたらいいかわからず、滝沢の背中に手を回してしがみついた。足首を捻挫しているのを思わず忘れて、足に力が入って、ソファーにぶつけてしまった。

「いたっつ!」
はっと滝沢が唇を離した。
「どうしたの?痛かった?」
「ううん、足・・・捻挫しているほうの足をちょっとぶつけちゃって・・・」
「大丈夫!?」
「うん、全然大したことないよ」
「ごめん、この体勢、苦しいよね」
滝沢は、そういうと、咲の背中に腕を添えて、そっとソファーの上に咲を横たえた。

「え?」
滝沢は横になった咲からやさしく、やさしくジャケットを脱がす。
「た・・滝沢くん?!?」
「じっとして」
「だ、だって・・・」
「咲、歩けないでしょ?俺がここで咲の面倒みるから、歩けるようになるまで」
「え?ええっ??」
「この足じゃ、風呂だって一人じゃ入れないし、トイレだって困るでしょ?」
「ええっ~!!」

捻挫した足首に触らないように気をつけながら、滝沢はびっくりする咲の上に、覆いかぶさる。
「そういう絶好の口実があるわけだから、咲はウチにいるんだよ」
「あ、あの、でも・・・」
「さ、き」
「は、はい?」