二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

Because of you

INDEX|1ページ/1ページ|

 
※このお話は東のエデン劇場版ⅠとⅡの間で、滝咲がニューヨークから日本へ帰るときの様子を妄想したものです。


「咲。俺、日本へ帰るよ」
滝沢はそう言って、飛行機のテロップから、咲へ手を差し出した。
「咲、一緒にきてくれる?」
「滝沢くん・・・でも、帰って大丈夫かな、滝沢くん、王様にされちゃうんじゃないかな・・・」
「だいじょ~ぶ、どうにかなるよ、咲が一緒なら、ね」
そう言って、滝沢は咲へむかって微笑んだ。咲も思わず微笑みかえして、滝沢の手を握る。

滝沢はそのまま咲の手を引っ張って、飛行機に乗り込み、隣同士の座席に座る。飛行機はプライベートジェットで、滝沢と咲以外に乗客はいない。20席ほどの座席ががら空きだったけど、滝沢は咲のそばにいたかった。
滝沢は咲の手を握ったまま話しかける。

「このまま、逃げててもしょうがないしさ。俺、俺なりに戦ってみる。半年前、王様になるっていう申請だしたってことは、やっぱり意味があったと思うんだ、その時の俺にとって」
「でも・・・そのために、記憶消しちゃって・・・私のことも忘れてしまったんだよね・・・」
「咲・・・」
咲はついうらみがましい口調になってしまったことに気づいて、すぐに自分の言葉を打ち消した。
「ううん、ごめん、変なこと言って。今いったこと、忘れて?とにかく、滝沢くん、日本に帰ったらどうなっちゃうか、心配だよ」
「咲。咲のこと忘れてもいいって思ったら、咲に留守電メッセージ残したりしないよ?」
「あ・・うん・・・」
「俺、咲が必ず俺を見つけ出すって信じてたから。記憶消したって、咲のことぜったい思い出せる、忘れるわけがないって信じてたから。だから、記憶消すことにしたんだと思う」
「滝沢くん・・・」


滝沢は咲の手を握っている手に力をこめる。
「俺が王様になるしかないって思ったのは、きっと咲の存在があったからだと思うんだ。咲のためにできること、俺が咲のためにできる最大のことが、王様になるってことだと、半年前の俺は思ったはずなんだ」
「私・・・のため?」
「うん。信じてくれてありがとうって、俺、留守電に吹き込んでたでしょ?半年前の咲が信じてくれたから、俺、俺ができることやってみようって思ったはずなんだ。咲が信じてくれた気持ちに応えたいって思ったはずなんだ」
「でも、そのために、記憶なくしちゃって・・・」
「だいじょう~ぶ、もう大分、取り戻したよ、記憶」
「えっ!?本当?」
「ああ。メリーゴーランドに乗っている咲を見ながら、ベールはがすみたいに記憶が一ページ一ページ戻ってきたんだ。お袋のことも・・・思い出せた」
「そうなんだ。よかった!」
「咲のおかげさ」
「そんなことないよ・・・」
「い~や、咲のおかげだよ。咲が半年間ずっと俺を探し続けてくれたから。咲が俺を見つけてくれたから。咲・・・半年間つらかったよね?ごめんね」
そう滝沢にやさしく言われて、咲は涙がにじんでくるのを止められなかった。
滝沢はそんな咲の涙をやさしく指でぬぐった。


「日本に帰ったら、いろいろあるかもしれないけどさ。大丈夫だから。もう、咲のこと忘れたりしないから、安心して?」
「うん・・・うん・・・」
咲の頭をやさしくなでながら、滝沢は言葉を継ぐ。
「俺がこのヘンテコな携帯持ってるってことはさ、何かできるってことだと思うんだ、俺にも。それがまだ何かよくわかんねえけど。きっと今にわかるよ」
「そうだね・・・」


滝沢は以前もみんなを救うために自分の身を犠牲にした。自分を悪者にして、自ら記憶を消した。それを思い出して、滝沢の言葉を信じながらも、咲は切ない気持ちになってしまった。もしかして、今度も、自分の身を犠牲にしてしまうかもしれない、みんなのために・・・。


「咲・・・」
「え?」
「あの雨の夜・・・咲にキスしたことも、思い出したよ・・・」
「あ///・・・」
滝沢はそっと咲の肩を抱き寄せた。

作品名:Because of you 作家名:なつの