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君には渡さないよ【腐向け】

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「またねー、廉造クン」
「うん。じゃーね、バイバイ」

廉造が女の子にチュッと頬に口付ける瞬間を見て金造は凍りついた。
そこは、志摩家の玄関先。
玄関を開けっ放しにしていたから家の中から丸見えで、
いつまでも家に入ってこない廉造を不審に思い見に行った金造が見たものが
先ほどのキスシーン。廉造が家に入ってくるまで金造は固まっていた。

「うおっ金兄!?なんでこんなとこで突っ立っててん?」

金造は廉造に顔を覗き込まれて、ハッと我に返った。

「れ、廉造!玄関先でなにしとんねんお前!!」
「何ってお別れのチュー。悪いか?」
「悪いわ!ビックリしたわ!!あんなもん人様の前で見せるなや!!」
「え、金兄、キスくらいでそこまで言うほどのモンか?」
「え?あ……」

金兄なら「お前に彼女なんかおったんやなー」って言われるかと思うたわー
と廉造が笑っていても、金造はぷるぷると身動き一つとらず両手で顔を覆う。
その様子を見て、廉造は笑うのをやめ、怪訝な表情に変わる。

「……え、あれ、まさか金兄まだキスとかしたことないん?」

金造は黙ってこくりと肯く。

「え、嘘やろーーーー!?」
「う、うるさいっ!」

べしっと廉造の頭をはたく金造。

「えーえーありえんわ、金兄かてエッチな話によう乗ってくるやん!!」
「…話だけならええんや、話だけなら。今まで音楽一本って決めててなぁ……」
「それで実体験は無いと」
「まぁ……」
「あれや、初体験とかより先にファーストキスすらまだなんやな?」
「まぁ……」

クスクスと嫌な含み笑いをする廉造を見て金造は嫌な予感がする。

「ファーストキスすらまだで悪いか…………ってうおお!?」

不意に顔を近づける廉造から金造は逃げようとするが、腕をつかまれて
しまう。徐々に近づく距離に耐え切れず思いっきり身体を突き放す。

「うぶぉっ…痛っ!」

廉造を床に叩きつけ、解放された金造は溜めていた息を吐き出す。

「なにすんねや廉造……」
「何って、キスやけど?」

真顔で言う廉造を見てぽかーんと口を開ける金造。

「キスもできんようじゃあかんやろ?やから俺がキスしてやろうと、」
「なんちゅうことさらりと言うてるんや…」
「だーかーら、キスしようとしただけやん。何そんなに赤くなってんのん?」
「へっ!?…あ?」

金造の頬は赤く染まっていた。廉造が髪をいじると、金造は意識せず息を飲む。

「っ……」
「……なぁ金兄、さっき俺がキスしてたの見てどう思った?」
「どうって……それは…」
「金兄の唇はふにふにしとるな……もう、我慢でけへんわ」

あと3cm…2cm……とまた距離は近づく。

「………〜〜〜あーーーーーもう、やめんかハゲ!!!!」

耐え切れなくなった金造は目の前の顔に拳を打ち込む。

「うぶぅぇ!!」

精一杯の力を食らった廉造はしばらく起き上がれそうに無いくらい悶絶していた。
その隙に金造は思い切り走って自分の部屋へと駆け込む。

「はぁ…はぁ…」

ふすまを閉めた瞬間その場にへたり込んでしまう。
そして先の出来事を思い出し、また両手で顔を覆って考える。

(未遂……やろな、そら自分が止めたんやし)

廉造がそうしていたように唇をなぞる。
ハッとしてその先へと進んだ想像を振り払う。

(あかん!流されたらあかんわ…!)





君には渡さないよ
(ファーストキスもこの心も。)