田所さんリスペクト。
「青八木。今度の木曜、お前誕生日だろ?なにか欲しいモンあるか?」
「……ヘルメット」
「(メット……初めての恋人への誕生日プレゼントがヘルメット……まあ、そういう所もスゲー可愛いけど!!!)
じゃあ欲しいヤツとか具体的に決まってんの?買う前に一応どんなのかオレも見てみたい。」
「……これ。」
「一番の左の?へぇー。いいカンジじゃ……」
「?」
「……これ、なんか形が田所さんのメットと似てるな。」
「ああ。」
「そっくり……じゃねェけど、パっと見の印象が……」
「同じ系統だな。」
「……」
「?」
「…………」
「…手嶋。駄目なら俺は……」
「エ?いや、そうじゃなくて…!!!」
不安そうに顔を曇らす青八木に手を振り、慌てて否定する。
「あのさ……」
「?」
田所さんをリスペクトする気持ちはオレも同じ。だから憧れの人を真似したくなる気持ちもわかる。
でもさ。
「買うメットはこれでいいけど……ついでに、ボトルケージ新しくしねェ?オレも青八木と同じの買うし。」
これくらいの対抗心は、男のワガママとして許して欲しい。
尊敬してても。憧れてても。
お前のことだけは、田所さんにも譲れない。
「……オレってホント心狭い。」
「???」
作品名:田所さんリスペクト。 作家名:山梨