君と一緒にハッピーニューイヤー!
『巻ちゃん!オレと一緒に除夜の汽笛を聞きにいかないか!?』
「………フツー、除夜の鐘ショ?」
『神奈川県民にとって新年の始まりは除夜の鐘ではなく横浜港に泊まっている船の汽笛で始まるのだよ!』
「お前が住んでるの箱根じゃねーか。」
『ハッハッハ!野暮なツッコミは無しだ巻ちゃん!恋人同士、初めての年明けはやはりロマンチックに迎えようではないか!どうだ巻ちゃん!31日、元旦、三が日と家に泊まりに来ないか!?我が家自慢のお節料理も盛大に振舞おう!』
「…………東堂。俺たち今何年生だ?」
『高校三年だが?』
「オレ受験生。お前も大学のチームにスグに合流できるようにちゃんと調整してろ。バカ。」
ガチャ。……数秒後。
『……巻ちゃーん……』
「………男が情けない声出すなッショ。」
『だって……』
「……年末、顔合わすくらいの時間は何とか作ってみせるショ。それで我慢しろ。」
『本当か!?』
「一時間だけな。」
『充分だ!』
巻島は携帯を片手につかんだまま、目の前にあったカレンダーに印をつけた。
12/31。大きな花丸と共に。どの表記よりも目立つように。
『巻ちゃん!』
「……さっき切ったばかりショ……今度はなんだ」
『愛しているぞ!』
「………」
ガチャ。
作品名:君と一緒にハッピーニューイヤー! 作家名:山梨