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好きだから・・・

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「帝人君って今日誕生日なんだよね?何かしてほしいこととかあったりする?」
人様の家に勝手に上がり込んでゴロゴロする臨也に帝人はパソコンから目を離すことなくため息をつく。
「別にありません。というより臨也さんに何かしてもらうと後が怖いので遠慮しておきます。」
「やだなぁ、俺が帝人君が嫌がるようなことするはずないじゃない。だから言ってごらんよ。」
すりすりと帝人の足に頭をこすり付ける臨也にもう一度ため息をつくと、パソコンに向けていた視線を臨也に向ける。
「じゃあ一つだけやってみたいことがあるんですけど、いいですか?」
帝人が尋ねると、嬉しそうに臨也は起き上がる。
「もっちろん!帝人君の頼みならなんでもやっちゃうよ!」
無駄に張り切る臨也に面倒くさそうな視線を向けてから帝人は部屋の隅に置かれた紙袋を持った。
「ここじゃあれなんで場所変えましょうか。」
そう言って家を出る帝人に臨也は何をする気なんだろうとわくわくしながらついて行った。







帝人に連れられてやってきたのは東池袋公園。
「それで、帝人君はこんな所までやってきて俺に何してほしいの?」
そう問いかける臨也は嬉しそうで帝人にとってはこれ以上にないくらいウザく感じられた。
チッと小さく舌打ちをしてから紙袋の中をゴソゴソと探り出す。
「少しの間そこに立っててください。すぐ終わりますから。」
(一体何するんだろ?もしかしてキャッチボール?帝人君ってば可愛いんだから!いや、もしかしたらボールに『臨也さんのことが好きです』みたいな文字が書いてあってもしかしたらもしかしなくても恋人なんかになって毎日イチャイチャするようになったりして。そしたらあんなことやこんなこと・・・)
そんな臨也の妄想など帝人が知るよしもなかった。
「よし、それじゃあ臨也さん!いきますよ!」
「準備はできてるよ帝人君!さあどんとこい!」
帝人は小さくウザイと呟くと、紙袋の中身を思いっきりぶん投げた。
それは臨也の腕、ではなく顔面に叩きつけられた。
それはボールではなく、真っ白いクリームがデコレーションされたケーキだった。
「・・・帝人君?どういうこと?」
何かを迎え入れるかのように両手を前に突き出したままの臨也の問いに帝人はにっこりと笑って答える。
「一度やってみたかったんですよね、パイ投げ。」
帝人は一仕事終えたかのようにパンパンと手を払う。
「前に正臣とテレビ見てたらやってみたいなぁなんて思ったんですけど流石にケーキ買うにしても作るにしても食べずに投げるってもったいなじゃないですか。だからちょっと諦めてたんですけど、昨日セルティさんが僕の為にケーキ作る練習してたらしいんですけど砂糖と塩間違えちゃったって言ってたんでどうせ捨てるなら、と思ってもらってきたんですよ。」
「じゃあなんでそれを俺にぶつけるの?」
両手で顔についたクリームを取り払う。
少し口に入ったそれは確かにしょっぱかった。
「それはですね・・・」
臨也の顔を覗き込んで帝人は無邪気な笑顔を向ける。
「こういうことしても許してくれそうなのって臨也さんだけだったから。」
怒ってます?と可愛らしい笑顔を向ける帝人に臨也が腹を立てられるはずもなく。
「全然怒ってないよ!むしろ帝人君なりのデレなんだと俺は愛しく思えるよ!」
そう言って抱きつこうとする臨也を帝人が避けるのはいうまでもなかった。







☆後日談☆
「セルティさん、ケーキおいしかったです。ありがとうございました。」
『どういたしまして。それより、今日臨也が私にお礼言いに来て失敗作がどうの言ってんだが・・・』
「ああ、それについては話を合わせておいてもらえませんか?臨也さんの為に僕がいろいろ用意してたのバレたらいろいろ面倒、というかウザイので。」
『?』
「まあ、馬鹿な子ほど可愛いってこんな感じなんでしょうね。」
(私にはよく分からないが帝人が嬉しそうでよかった。)



一応、帝人君はわざわざパイ投げ用ケーキ作って臨也さんのこと構ってあげるくらい好きっていうことです。
作品名:好きだから・・・ 作家名:にょにょ