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また恋がしたい

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「帝人君、別れようか。」

臨也さんに言われて驚きなんかしなかった。

臨也さんは酷い人だけど、それでも僕には優しかった。

だからきっと彼は僕の為に別れを切り出すだろうって。

だって別れを告げたのは臨也さんの方なのに、僕なんかより傷ついた顔をして。

今にも泣き出しそうな顔で、声で、態度で。

「わかり、ました・・・」

僕は別れを告げられたことよりも、臨也さんの姿を見るほうが辛かった。

いつも自信満々で、強くて、凛としてて、時々甘えてくるのが臨也さんだったから。

「僕は、臨也さんと恋人になれて良かったです。

 短い時間でもとても楽しかった。」

本当に良かったと思う、楽しかったと思う。

後悔なんて思いつかないくらいに心地良い関係だった。

臨也さんが恋人なんて信じられないくらい穏やかで、和やかで。

「・・・それじゃあね。」

その間は僕と別れたくないって思ってくれてるって自惚れてもいいですか。

自惚れるくらいなら別れた今でも許されますか。

「臨也さん。」

僕に背中を向ける臨也さんを呼び止める。

あなたは優しい人だから、僕と別れてからきっと涙を流すんでしょうね。

それでも、泣かないでほしいって思います。

「僕にとって臨也さんが初恋、でした。

 だから、こんなに別れが辛くて、悲しくて、苦しいって初めて知りました。

 でも、また恋してみようって思います。

 あなたと過ごした時間はとても幸せだったから。」





ねぇ、臨也さん。

どうせ最後に言って欲しかったんでしょう?

あなたが聞きたかったのは『もう恋なんかしない』だ。

言ってあげたりしませんよ。

僕の為とはいえあなたが別れを告げたんですから。

ちょっとくらい意地悪してもいいでしょう?

でも勘違いしないでくださいね、僕が言った言葉の意味は・・・





━━━━━『あなたとまた恋がしたい』ですよ。

作品名:また恋がしたい 作家名:にょにょ