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ジェラシー

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気になるんだよなあ。
最近、咲に熱い視線を送るヤツラがやたら多くないか!?
咲の学校トモダチの夏目翔は、まだ咲をあきらめていないらしく、しきりとエデンに顔を出すし。
豊洲に巣食うニートたちの中でも最高に頭が切れる竹川まで、咲にやたらと話しかけるし。
大杉は手こそださねーけど、咲のこと「咲ちゃん、咲ちゃん」って呼んで、すっげー親切だし。咲に尽くすのがシアワセって感じでにやけてるし。
クライアント先のヤツラも、やたら咲を指名してくるし。ま、そこらへんは平澤がけっこうしっかりガードしてくれてるから、俺も安心してるけど。

でも、無理もないよなあ。
最近の咲は、満開のピンクの薔薇みたいなんだ。
ぐっと大人っぽくなって。やさしさや、やわらかさは変わらないけれど、その瞳には芯の強さみたいなものが輝いていて。
みんなに笑顔をふりまいていて。その笑顔みてると、なんかシアワセな気分になるんだよな。

俺だって、咲と二人っきりでいるとき、ときどき見せる彼女の艶やかな表情にどきっとするんだ。もう少女なんて呼べない。大人の女のたおやかさを見せ始めた咲。俺のほうがそんな彼女に翻弄されてしまうほど。

「ふう・・」

思わず、俺はため息。咲が自分のこと愛してくれてるってわかってるけど。でも、やっぱり心配はしちゃうよなあ。もし、もしも、咲が俺以外のオトコに惹かれたりしたら・・・。俺以外のヤツに目を向けることがあったら・・・。


「どうしたの?滝沢くん、こんなところで?」
気がつけば、咲がそばにきていた。
「あ、なんでもない、ちょっと休憩。アイディアに煮詰まっちゃってさ」
そういって滝沢はよりかかっていた自動販売機から、缶コーヒーを買った。豊洲の二階のフロアーに東のエデンのオフィスがあるのだ。
「咲も飲む?」
「うん、ありがと」
俺は咲の分の缶コーヒーも買って彼女に渡す。

「あ・・」
「ん?どうしたの?」
「この缶コーヒー・・・滝沢くんと会ったばかりの頃、豊洲に行く定期船待ってるときに、一緒に飲んだのと同じ・・・」
「え?あ、そうだったっけ?」
「そうだよ。私、よく覚えてるもん。」
「そっか・・・」
「あの時、定期船待ってる間、いろいろ話したね、私のこと、だけだったけど」
「俺、あの時まだ全然記憶戻ってなかったからな」
「うん。定期船に滝沢くんが乗って・・・私、ついていきたかったけど、言い出せなくて・・・そうしたら、滝沢くんが手を延ばしてくれた。」
「うん・・・俺だって、咲と離れたくなかったんだ」
「ホント?」
「もちろんさ。俺、あれ以来ずっと咲にまとわりついてんじゃん?」
「でも、記憶消して、私のこと忘れちゃったくせに」
ジョーダンめかして、咲は俺のことをちょっとにらむ。
「忘れてないさ。忘れたって、忘れないさ、心の奥ではさ、咲のことぜってー忘れないさ」
「ほんとう?今度、もし私のこと忘れちゃったら、もう、探しになんていってあげないからっ。私だって、忘れちゃうからねっ!滝沢くんのこと」
咲はそういって、笑いながら、俺のほっぺをチョンと指でついた。

それは、ホンのジョーダンで。咲と俺のいつもの会話の中の何気ない一言で。いつもだったら、「こいつ~」とかいって、咲の頭をぐりぐりなでたりしてたと思うんだけど。

その時は、なんか俺の胸にひっかかったんだ、「忘れちゃうからね」っていう咲のコトバが。

俺はなんだか急に息苦しくなって。缶コーヒーを空き缶入れに捨てて。咲と向かい合った。そうして、咲を自動販売機に押し付けて、じっと目を見つめる。

「滝沢くん?どうし・・・」

最後まで言わせず、咲にキスした。軽いキスじゃなくて、深く深く口づけた。咲の息があがる。俺は一度キスを中断して、咲の耳に口を近づけた。

「忘れさせないよ・・・俺のこと。咲は俺のこと、忘れない。忘れられないようにする・・」

そう言って、俺は咲の唇をむさぼった。咲が震えてきて、立っていられないほどになってくる。俺は咲の体を支えながら、キスを続けた。

咲。咲。
咲は俺のこと忘れちゃだめだ。
咲はずっと俺のことみていてくれなきゃ。
俺を信じていてくれなきゃ。
俺だけを・・・。

角度を変えて、咲の甘い唇を吸う。味わう。そうして、唇から、首筋へとキスを移していく。

「た・・きさわくん・・だめ、こんなところで・・・」
「じゃ、俺の部屋きて?」
「えっ・・だってまだ仕事中で・・」
「だめ、今すぐ。俺、今すぐ、咲と・・・」

そう言って、俺はもう一度彼女に深く口づけた。

咲は俺の世界の中心で。
俺が月なら咲は地球で。俺が地球なら咲は太陽で。
俺がいくらぐるぐる回って、回転しようが、自転しようが。
咲がいつも俺の中心にいて。揺るがないんだ。
だから、俺はいろいろ動けるんだ。
それが揺らぐようなこと、あってはならないんだ。
自分の中心がなくなるなんて・・・
そんなこと、考えるのもイヤだ。イヤだ。

俺は、雪の降る中、切れた携帯電話を見て、咲が俺との縁を断ち切ったと誤解して、貨物列車の上で身も心も凍えていた夜を思い出していた。咲を失ったと思った、あの耐え難い暗闇。心にぱっくりあいた傷口・・・。

「滝沢く・・ん・・・どうしたの?何か・・・あったの?」
激しいキスに呼吸を苦しそうにしながらも、咲が心配そうな顔で俺に問いかける。

「あ・・・」その真摯な瞳に俺は我にかえる。

(心配かけちまった・・・)

「ごめん、咲。俺・・・どうかしてるなー。ごめん、ごめん。何でもないんだよ、全然。ただ・・・」
「ただ?」
「なんか、急に確かめたくなってさ。咲が俺のこと好きだって・・咲は俺の前から消えたりしないって・・・」
「それ、自分が姿消してた人のいうセリフとも思えないけど・・」
咲はちょっとふくれながらそう言ったけど。


「でも、確かめる必要なんてないよ。私の気持ちなら決ってる。滝沢くんと出会ってから、すべてが始まったんじゃない?私のすべて・・・私たちのすべてが。ちがう?」
「うん・・・そう、そうだね・・・。なんか、俺、今日おかしいな。わりい、わりい。仕事のジャマしたね。」
「滝沢くんも仕事戻らないとだめでしょ?早く終わらせちゃお、今日の仕事。そしたら・・・」
咲はちゅっと俺に軽くキスしていった。
「そしたら、滝沢くんの部屋いくから・・・待ってて。私が滝沢くんのことすごく好きだって・・・証明してあげる。たっくさん。」
「えっ・・・それって・・・」
「じゃ、後でね!」

咲ははずかしそうに顔を赤らめて、職場に戻っていった。

「・・・まいったなー」

俺は咲が去った後も自動販売機に背を預けてしばらくそこにいた。咲が俺の腕の中でみせる悩ましい表情が脳裏に浮かんできて、俺はあわてて頭をふった。

(やっぱ、俺、咲にぞっこんなんだよなー。)

時計を見ると、16時である。
「よっしゃ!早く仕事終わらせちまおう!」
あと3時間もすれば・・・咲と二人っきりの時間が持てる。

咲に伝えたい。俺がちょっと今日不安に思ったわけ。咲にぞっこんだからこそ不安に思ったこと。でも、俺は咲を信じてるし、咲も俺を信じてくれてるんだよね。もしかして、俺、ヤキモチやいたのかな?
作品名:ジェラシー 作家名:なつの