拝啓、私の好きな人-2-
「新刊できたのか?」
「いえ、違います。今日は重版する冊数決めるそうです。」
「そうなのか。たくさんでるといいな。」
「はい。 おや、もうこんな時間に。行ってきますね」
「いってらっしゃい」
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最近彼の様子がおかしいときがある。なにかを堪えるような感じになるんだ。今日は彼が出かけた。俺はこっそり彼の部屋に入り、原因を探した。何にもないな、そう思い部屋を出ようとした時、ゴミ箱が目に留まった。中を見ると空になったビンが捨てられている。
「これは、」
ビンのラベルにかかれていることを理解すると同時に、携帯がなる。なんとなく嫌な予感がする。ディスプレイには知らない番号が表示されていた。
「Hallo?…」
『__病院です。本田菊さんの家族のかたでいらっしゃいますか?』
「そうですが」
『本田菊さんが倒れました。今うちに搬送されたとこです。』
【搬送された】という言葉を聞いた瞬間に携帯を片手に家を出て、病院へ急いだ。
「なんでだよ……菊…」
嫌な予感が、あたりやがった。
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急いで家から病院まで行き、彼のもとへ行った。窓口で彼の病室の番号を調べてその部屋を探す。やっと部屋を見つけ震える手でドアを開けると彼は静かにベッドの上で何かを堪えるようにしていた。
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「菊!!」
「アーサーさん…ご心配をおかけしました。」
「気にするな。それより大丈夫か?倒れたって聞いたんだが」
「ええ、大丈夫です」
「そっか、安心したぜ。心配したんだからな」
「本当にすいません」
「……」「……」
「なぁ菊。」
「はい?」
「…俺さ、」
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“お前の部屋で見たんだ”と彼に告白しようとした時、病室のドアが開いた。菊と一緒にいた俺を見ると静かに告げる。きっと彼に、彼の薬に、関係のしているんだと思いうなずく。
「本田さんのご家族の方ですね。少しお話があるので来てもらってもいいですか?」
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家をでて病院に向かう予定だった。彼には申し訳ないと思いつつも嘘をついた。心配をかけたくないから。でも、結局心配をかけてしまった。家を出て少ししてからいつものように胸が痛くなった。そして倒れてしまい病院に運ばれた。担当医からは“入院しないといけない”ということともう一つ。泣きそうになっていた時に彼が来てくれたことは嬉しかった。泣かなくてすむから…。その彼も今、担当医から私も聞いたことを聞いているのだろう。
「心配をかけてしまったことは辛いですけど、仕事ができるのは幸いでしたかね。」
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続く
作品名:拝啓、私の好きな人-2- 作家名:芋兄弟は俺の嫁