百合ヒバツナで2作詰め合わせ
風が舞う。
ふわりと舞い上がる。
ひらひらひらん
ふわふわふわん
ツナはそんな風を感じて手でスカートを押さえた。
数日前、風でスカートを捲られてしまった時、外に吹く風にまで嫉妬をした雲雀に応接室でとんでもない事をされてしまってから風の強い日には反射的にスカートを押さえるクセがついた。
あの後、雲雀によってスカートの下の下着を脱がされ、応接室で下着を履かずに1日雲雀の秘書みたいな事をさせられて過ごした。
もちろん雲雀の過激なセクハラ付きで。
あれ以来やたらスカートを押さえるクセがついてしまったツナは誰もいない道であるにも関わらずこの時も風で揺れるスカートを押さえた。
しかし‥‥
ばさり
自分のスカートの後ろが捲れる音。
そして背後を振り返ったツナが見たものとは‥‥‥
「ヒバリさんっ!」
なんとトンファーでツナのスカートと捲り上げる真っ黒いセーラー服の上に学ランという一風変わった雲雀がいた。
さっきまで確かにツナ一人だったというのにいつの間にか出現していた雲雀にスカートを捲られびっくりしたツナはトンファーで捲られたままのスカートをばっと押さえて真っ赤になった。
夫婦なんだからツナの下着位いくらでも見ているはずなのにどうしていきなりスカートめくり?
一体何なんだ!?
赤くなりながら雲雀を睨むが彼女は相変わらずマイペース。
「風でスカートが捲れそうだったから僕が先に捲った。君のスカートを捲ったり出来るのは僕だけだから例え自然現象でも許さない」
「ひっ、ヒバリさっ‥‥っ」
そんな雲雀の大層な愛の告白にツナは激しく恥ずかしくなる。
雲雀から愛されている事を毎日突拍子もない行動で実感するが今回もまたそうだ。
自然現象である風にも嫉妬して風がツナのスカートを捲るのが許せないと言い堂々と妻のスカートを捲ってしまったりする雲雀の行動にツナは果てしなくテレてしまう。嫉妬されすぎるのも困るけど、好きな人からそんな風に言われるのはやはり嬉しい。
そんな雲雀を見ているとここが道ばたであるにも関わらず抱き付いて甘えたくなってうずうずしてくる。
本当はいつだって近くにいてくっついていたいツナだ。
ツナのきょろきょろと落ち着かない、なんとなく物言いたげな様子を見て雲雀はツナの意図を悟った。
再会の抱擁は大事だ。
“ちゅー”と“ぎゅー”と“ぴとっ”は夫婦生活でなくてはならないライフスタイルの一部になっているツナは雲雀とのえっちも好きだが“ちゅー”と“ぎゅー”と“ぴとっ”は特別好きで事ある事にあの大きな瞳でちゅーして、ぎゅーして、くっついていい? とねだってくる。
雲雀はツナの前で軽く腕を広げた。
さあおいで。
そうするとツナは顔をぱああっと明るくして雲雀の胸に飛び込んできた。
「ヒバリさんっ」
「うん。何? 甘えたさん」
「うっ。こんな風に甘えたりするのヒバリさんだけなんですから」
「当然。他にいたら咬み殺してる」
「いませんよっ。ヒバリさんだけ。俺のスカートの中身はヒバリさんだけのものだから、その‥‥家に帰ったら、また、捲ってくださいね。スカートっ」
ツナの言葉に雲雀は驚いたように瞳を見開きふっと嬉しそうに笑って
「誘い上手になったね。こんなに僕を煽って。家についたら覚悟しなよ」
そうして二人今日も仲良くキスを交わした。
作品名:百合ヒバツナで2作詰め合わせ 作家名:浅田リン