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もかこ@久々更新
もかこ@久々更新
novelistID. 3785
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チュープリ

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「わぁぁん待ってぇドイツぅ!!手ぇ離さないでよ〜ぉ!!」
「お前が遅いから前に進めないんだ!!えぇい、何だってこんなに・・・!!」

ドイツも、イタリアも。
東京・渋谷の人の多さに耐えられないようだ。
日本人ですら嫌になるような人の多さを、久しぶりに来た彼らは驚いている。
まして今は日本がいない。日本は

「好きなところへ遊びに行ってらっしゃい」

と二人を外に放ってしまった。

「ヒドいよぉ・・・朝は電車ギューギューでさぁ、俺死んじゃうかと思ったし。
どこ行っても人、人、人!
あ〜ん、早く日本ん家に帰ろうよぉ!!」
「うるさい!!文句を言うなら一人でヴェネチアに帰れ!!」

二人とも、相当イライラしている。
体の大きいドイツ、のんびり屋で足の遅いイタリアに、
言葉の通じない、
小さなドワーフが作った巨大な眠らない街はハードだった。

「・・・ねぇドイツ、あれ何だろ?」

手を離さないでくれと言ったくせに、イタリアは必要以上に周りを見て立ち止まる。
それで手を離してしまうから、ドイツはそれにもイライラしていた。

「何故立ち止まる!!・・・何だ、何を見ている?」
「あれぇ、あの女の子がいっぱい集まってる機械・・・」
「・・・・・・確か、聞いたことがあるぞ。プリクラと言う機械だ。無人写真機だな」
「へぇ〜・・・面白そう!!あれ撮ろ、ねーっあれやろうよ〜!!」
「帰るんじゃなかったのかお前はあぁ!!」
「一回だけ!!一回だけだからぁ!!」

感情的にねだるイタリアにドイツは頭を抱え、決断する。
熱くなりすぎるのは、自分らしくない。ましてこんな微々たる、いつものイタリアの我が侭で。
ドイツはそう考え深く息をついて、目の前でプリクラとやらに目を輝かせる恋人に話しかけた。

「・・・・・・何を条件に?
あれを撮るために俺たちは帰る時間が遅れる。遅れた分の埋め合わせを何でする?」
「えっ、え〜っとぉ・・・何がいい?」
「お前から提示されるまで、俺はここから動かんぞ」
「ん〜・・・じゃあねぇ、フェラチオ。ドイツの飲んであげるね?」

やはりか。
やはりそういう方向性しか望めないのか。
ドイツはまた深いため息をついて、ため息をつきながらも満更でない自分を嫌悪し頷いた。

「・・・判った。行こう」
「イイでしょ?フェラ好きでしょ?俺最近頑張ってるし♪」

周りの日本人が英語を判らないのと同じように、
イタリア語とドイツ語が判らなくて良かった、とドイツは切に思った。

「ね〜ねぇ〜日本語読めなぁい。これどうすればいいの?」
「・・・こっちから入って、写真を撮る。
そうしたら、反対側のディスプレイで写真に・・・落書き?をする。
しかし何故?何故写真に絵を書く必要がある?」
「ふ〜ん。落書きは何となく分かるよぉ。二人の記念って写真に書くんだよ!」

何でも気軽に考えられるイタリアはドイツの説明を明るく変換できる能力を持っている。
日本がいつもすごいと誉めて(ドイツ的には呆れて)くれるのだ。
中に入って、ドイツが400円を入れる。
今日本は円高で、ユーロを随分失ったように思った。
表示された写真を何となく感覚的につかみながら、イタリアは先に進めていく。

「何か何言ってるか分かんないけどとりあえず同じポーズすればいいんだよね!
え〜セクシーポーズ!?ほらほらドイツも同じポーズしなよぉ!!」
「出来るか恥ずかしい!!」

可愛らしい女の声が何やら指示を出している。
読むことはできても聞くことはできず、ドイツは油断してしまっていた。

「わひゃあ〜チューしちゃったぁ〜(*=ヮ=*)」



「ただいまぁ〜にほ〜ん!!」

バタバタと靴を脱がずに上がろうとしたイタリアに日本はチョップをくわえて、
その後ろを放心状態で歩いてきたドイツに視線を移した。
何だか真っ白だ。矢吹ジョーか?日本は首を傾げ、リュックサックを受け取る。

「はいはい、お帰りなさい・・・ドイツさん?いかがされたんですか?」
「日本・・・俺は降伏する・・・俺を許してくれ・・・」
「はぁ?まぁ、お夕飯出来てますから、お風呂行って来てください」

ブツブツと呟きながら遠くへ去っていくドイツを不審に思ったが、
イタリアが自慢気に見せてきたプリクラで全てを理解した。

「見てぇ、ぷりくら!!可愛いでしょ、チューしたの!!」

可愛らしい二人に、思わず笑ってしまう。

「キスしながら撮るプリクラはチュープリって言うんですよ。」

日本がそう言うとイタリアは更に目を輝かせて、嬉しそうに笑う。
この、ドイツの驚いた顔。笑いが止まらない。
後で思い出し笑いが出来そうだし、
・・・この友人のことだ。
たくさんいる兄たちに見せびらかし兄の悪友たちからまたこちらに戻ってくるだろう。

「そうなのぉ!?チュープリ〜チュープリ嬉しいなぁ!!
ねぇねぇこれねぇ、ケータイに入れておきたいんだぁ。チューしてる俺とドイツ。
チューはいっぱいしてるけど、チューを写真にしたの初めてだもん。
・・・多分、これ自体はドイツに取られちゃうから、この写真だけ欲しいの、どーしても欲しいの」

顔は笑っているけれど、感情と本能で動くイタリアには至極真面目な話のようだ。
日本はそれを何となく感じ取って、可愛い友人に配慮してやった。

「ちょっと貸してもらえます?」
「うん!」
「このアドレスにケータイからアクセスします。
すると保存されたこの画像データがダウンロード出来ますから・・・私のケータイでダウンロードしましょう。
そしてイタリアくんのケータイに転送します」
「わ〜これこれ〜!!ありがと〜日本〜!!大好きだよぉ!」

ケータイに表示された可愛い写真に、小躍りせんばかりに飛び上がった。
しかしセキュリティをかけておかないと用心深い彼の恋人はデータを消してしまうのではないかと思うが、
消されたら消されたで、また送ってやればいいだろう。
シャワーを浴び幾分か回復したドイツが写真を取り上げ、これは俺が保管しておく、と宣言した。
・・・捨ててしまわないのが、彼の優しいところで、ベタ惚れの証なのだろう、と、日本は思った。
作品名:チュープリ 作家名:もかこ@久々更新