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PN悠祐希
PN悠祐希
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魔法少女おりこ★マギカR

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『さあ…キミの魔法を試してごらん』
 その意思に導かれるようにして、少女の姿が変わる…
 纏っていた平凡なセーラー服が、数瞬の後に、まるでフランス人形のような純白のドレスに…
 その姿が、その少女には、神々しさすら感じさせる程に似合っていた。それは、容姿だけの問題ではない。少女から放たれている、不思議な力…魔法の力が、そう感じさせるのかもしれない。

 そして、少女は、ある光景を目にしていた…
「ここは…見滝原なの?」
 思わず、そんな言葉を口にしてしまっていた。なぜなら、目の前にある見滝原の風景が、自分が良く知る《ソレ》と、あまりにも異なっていたからだ。
「街が崩れていく…なんて力」
 そう…良く見知った見滝原の街が、《あるモノ》の力によって、破壊され、失われていた。
 そして、街があった場所の上空には、まるで歯車がいくつも重なったような形の、巨大な《何か》が浮かんでいた。良く見ると、歯車の下部から、人間…それも女性の上半身のようなモノが、逆さまの状態で生えている。
「あれが魔女…?」
 少女が、ソレを見て、そう呟いた。
 その『魔女』と呼ばれたモノは、不気味な笑い声を発しながら、なおも見滝原の街を破壊していく。
「これが、私の運命というのならば、なんとしても止めてみせるわ…」
 そう意思を固めた、次の瞬間、事態は一変した…
「あ…あぁ…」

『願いは叶ったかい?』
 その、脳の中に直接響いてくるような《声》に、意識が現実に呼び戻された。
 今、目の前に見えている見滝原の街並みは、破壊されてもいなければ、魔女と呼んだモノも存在していない。
そして、猫ともウサギともいえない不思議な白い生き物が、そのつぶらな赤い瞳で、自分を見つめていた。
だが、彼女の目には、そんな現実の光景は、映っていなかった。なおも、少し前までに見ていた光景が、頭を離れない…
「ぅあ…あ…ああ…」
 滝のように汗が流れ落ち、涙が止まらない。
…こんな事が起きてしまうなんて…
…だからって…それじゃあ、あまりにも…
『どうしたんだい、織莉子(おりこ)? 顔が真っ青だよ。具合でも悪いのかい?』
 白い生き物が、その、『織莉子』と呼んだ少女の意識に、さらに語りかけてくる。
 彼女は、その《声》を無視し、思考を続ける…
…なら…どうすれば良いの?…
…どうすれば、あの状況を打破できる?…
…けど、魔女が、そういう存在である以上は…
 その瞬間、少女の脳裏に、ある少女達の活動の様子が浮かんだ。

 少女達は、仲間ではない少女と戦い、その身体から、宝石のような物を奪っていた。

…なるほど…ならば、そうなる前に…
…そして…彼女を…
 織莉子は、ようやく緊張した様子をとき、にわかに笑みを浮かべると…
「キュゥべぇ…残念なお知らせよ」
 唐突に、その白い生き物…《キュゥべぇ》に、こう言葉を返した…
「私達は、貴方達…《インキュベーター》の思いどおりにはならないわ…」
 そして、織莉子は、キュゥべぇに背を向ける…
「世界は変わる…もっとも、それは、貴方達にとっても、不都合な事ではないでしょうけどね」
『織莉子…キミは、いったい…』
キュゥべぇは、いきなり自分を『インキュベーター』などと呼んだ、織莉子の真意を探るかのように、その後ろ姿を、赤い瞳でジッと見つめた。
 織莉子は、キュゥべぇの問いに答えることなく…
「とにかく、私を《魔法少女》にしてくれたことには、感謝するわ。さようなら」
 そう言い残し、その場から立ち去った。