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バレンタイン☆デー

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その夜、吉野祐助がうまい棒でも買いに出掛けようとしていると玄関のチャイムが鳴った。
「すみません、仕事が終わるのが遅くなってしまって……これ。」
玄関を開けると、そう言って百井みゆきが赤い包みを差し出した。
寒い中、急いできたようで頬と鼻の頭が赤くなってしまっている。
「あ、あ、ありがとう。と、とりあえずあがってください」

みゆきをこたつに座らせて、祐助はコーヒーの準備をしながら素数を数えて心を落ち着かせる。
「(やっぱり、これはバレンタインデーのアレだよな。2月14日だし、包みは赤いし。イヤッホーウ、今年はゼロじゃないぜ)」
仕事帰りのスーツ姿のみゆきは、脱いだ白いコートを折って脇に置き、こたつの中に手を入れて暖めて待っていたが、祐助が2つのマグカップを手に戻ってくると、手を出してそれを受け取った。

祐助もみゆきと向かい合って座る。
こたつの天板の中心にはプレゼントが鎮座している。
「あの、早速開けてみてもいいかな」
「はっ、はい、どうぞ」
みゆきが改めて両手で差し出した箱を受け取ると、予想外の重さが祐助の手にかかる。
リボンをほどいて包装紙をめくっていくと、現れたのは飾り気の無いほぼ正方形の箱で、そこに書かれているブランド名は、祐助も見覚えのあるカメラブランドの名前だった。
「お、おお?」
箱に書かれている焦点距離の表示から、箱の中身は交換用レンズ、それも室内でのポートレート撮影に最適と言われているレンズであることが分かった。
「えええええええ、これ、いいの?」
交換用レンズは高い。祐助がちょっとバイトをがんばらないと買えない値段だ。
「ちょっと奮発しました。それに」
祐助は、それでこんな時間まで残業してたのかと心配になった。
「それに?」
「そのレンズで撮ってもらいたくて」
みゆきは祐助の隣に移ると着ていたジャケットのボタンを外し、背後に脱ぎ落とす。
続けてブラウスのボタンも順に外していき、黄色いレオタードが食い込んだ肩があらわになった。
祐助はあわててカメラを取り出すと、もらったばかりのレンズに交換し、ファインダーを覗き込む。
「この色はひょっとして……」
徐々に明らかになっていく衣装を、続けてシャッターを切って記録した。
「はい、新番組のアレです。今朝やっと出来上がって」
みゆきの肌は、コスプレ衣装を中に着込んだまま一日の仕事を経たことで汗ばんで滑らかな光沢に包まれていた。
肩やわきの下はところどころ生地にすれて赤くなってしまってもいた。
「着替える時間がもったいなかったというか、いや、あの、耐久テストも兼ねて」
ブラウスを脱ぎ終え、立ち上がってスカートのファスナーを下ろすみゆきの仕草も、祐助は無言で、カメラの性能をフルに使って余すことなく撮影する。
「あの……ちょっとどうしたんですか」
祐助のあまりの熱の入れようにみゆきがたじろいでいると
「ちっ、違うんです。レンズが、レンズがいけないんです」
顔を真っ赤にして変な弁明を始め、
「その、すごく魅力が引き出されるっていうか……」
一瞬逡巡して言い放った。
「その……中に着てくるなんて反則ですよ。変態だ!」
みゆきも顔を真っ赤にして反論した。
「よっ、よりによって変態って」
「だって、もう撮られる気まんまんじゃないですか、しかも一日着込んだ衣装とか興奮しない方がおかしいですよ」
「そんなのに興奮する方が変態です」
みゆきがスカートから手を離すとそれは足元に滑り落ち、衣装の全容が明らかになった。
「変態さんにはおしおきがですわね」
黄色いレオタードの上から大仰な鎧パーツを装着し、肩からは鞭と鎖を足して二で割ったような触手状のアイテムがぶら下がっていた。

想像していたしていた黄色い子と違ってややショックを受ける祐助だが、みゆきのその大きな胸を活かしたコスプレには納得した。
「ということは僕の衣装は……貧乳キャラの水色ですか」
「はい、正解です」
作品名:バレンタイン☆デー 作家名:碇シンヂ