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アノンの父親捏造まとめ

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 肉じゃがを5人前は平らげたあと、彼らは図々しくも居間のソファで眠ってしまった。
 マーガレットはまだ彼らに対する警戒を解けず見張るように居間の隣の部屋にいると、ドアノブを捻る音がした。いつの間にか考え事をしていて、その音にはっと顔を上げる。
 入ってきたのは、自室で荷物を片付けると言っていた息子だった。
「休憩かい」
 ロベルトは頷き、居間を一瞥した。
「…あいつら、まだ寝てるんだね」
「そのようだね」
 ソファに腰掛け、硬い表情で答えるだけの父を見て、ロベルトは軽いため息を吐いた。
「早く追い出さないと、ずっと居付かれそうだよ」
 言いながら中へ入り、後ろ手にドアを閉めた。聞き耳を立てられては困る。
「ねえ、父さんは憎んでないの? あの地獄人を」
 つい問いただすような語調になった。
 マーガレットは冷や汗がじわりと滲むのを感じつつ、
「…ロベルトはどうなんだい」
 質問を返され、ロベルトはまた息を吐いた。
「ああ言っておいて何なんだけど、アノンのことなら憎みも嫌いもしてない。あいつも僕と似たようなものなんだよ、父さん」
 そうか、と答える父の声は唸るように低い。
「僕は―――分からないんだ。アノンのことは構わないが、あの男は…やはり憎むべきなんだろうね」
「まあそうだろうね。…僕は嫌いだな、あの男。理由は言わないけど」
 父さんを信じてたから、アノンが現れた時―――裏切られたと思った時すごくショックだった。なんて、言わない。
 マーガレットは眉間に皺を寄せた。
「でも僕は、あの男をそれほど悪い奴だと思わないんだよ」
「―――父さん、」
 その時居間の方から物音がし、マーガレットは急いで立ち上がった。ロベルトも父に続いて部屋を出る。
 居間ではアノンがまだ寝ていたが、その父親は少し前から目覚めていたようだった。
「あぁ、マーガレット!そこにいたんだ」
 にっこりと笑う地獄人。表面上、屈託なく。
 そんな彼には聞かれないよう小声で、マーガレットは呟いた。
「ロベルト…僕は彼らを追い出せない」
「え、父さ……」
 息子を置いて居間に入り、そのままキッチンへ酸っぱい目覚まし用の果汁を作りに行った。

 ―――ふざけんなって言ったじゃないか、父さん。
 地獄人の男が父に何事か喋りかけていたが、ロベルトはそれをただ睨むように見ていた。