天ノ弱
僕がずっと前から思っていることを話しましょう。
『友達』でいられるのなら、それ以上は望みません。
君も『それでいい』と言うのなら、僕だってそれでいいんです。
…なんて、嘘です。僕は嘘つきなんですよ、火神君。
「今日は土砂降りの晴天ですね」
「昨日は一日中暇で、満喫してました」
「君のことは…いいえ、少しだけ、考えていたかもしれません」
考えれば考えるほど、頭の中がこんがらがって、ぐちゃぐちゃで
同じところを回ってしまうから口に出してみたけど、わからなくて。
そんな僕の頭を、何も言わずに撫ぜる君の手が暖かくて。
ねぇ、それって僕限定じゃありませんよね?
抱えきれないほどのこの思い、いっそ捨ててしまいたいです。
僕がずっと前から思っていることを話しましょう。
君の姿が有ろうと無かろうと、この思いは僕の心の中にあるのです。
君に関して知らないことがあると…気が狂いそうなんです。
この感情は、綺麗?汚い?
僕にはわかりません。でも、捨てることもできません。
まだ…まだ考えててもいいですよね?
光と影。絶対に越えられない線。
君との距離を、何でなら埋められる?
素直になれない僕はきっと…天性の弱虫なんでしょう。
ああ、この両手から零れそうなこの思い、君以外の誰にも渡したくありません。
だから、まだ待ちます。
…いいえ、言いましたよね。僕は嘘つきです。
「もういいかい」