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葎@ついったー
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die vier Jahreszeiten 013

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もうちょっとつつきたい気もしたけど,昼には戻らないとバイトに遅れるというのを思い出し,仕方なく俺はチビを解放した。

コンビニを出て大通りを目指す。
通り沿いにある服屋を覗くつもりだった。
チビはというと,公園に向かったときよりも緊張した面持ちで絶えずあちこちを見回しては不安そうに俺を見上げる,というのを繰り返していた。
遅れを取るまいと必死に足を動かしてるのもわかった。
俺はなるべく歩調を合わせてやりながら,買い物終わったら昼飯だなー,と欠伸を噛み殺していた。

服屋では,フリースの上着とコーデュロイ地のずぼん,黒と白に赤の入ったチェック模様のシャツ,白熊のプリントがされたTシャツ,下着と靴下,もこもこのカーデガン,とサイズを確かめながらほとんど手当たり次第籠に突っ込んだ。
金に糸目はつけねえ,て気分?――けっ,ばっかばかしい。
元がそう値の張るもんでもないから,籠一杯に買ったところでまぁ高が知れてるんだけどな。
仕上げとばかりにマフラー売り場に引っ張っていって,どれがいい?と尋ねると,チビは首を傾げたまま俺を見上げた。
俺に選べってか,と視線の意味を汲み取り,俺は目を細めてチビを見下ろす。
視線を何種類ものマフラーがかかったラックに戻して上から順番に眺める。
視線が止まったのは冬の空よりもまだ明るい水色のマフラーだった。

「これでどーよ?」

手にとってチビの胸元に合わせて見る。それから視線を合わせてそう尋ねると,チビはこくこくと頷いた。

「ついでにイヤマフも買ってくかー。色…白だと見分けつかねーな。赤とかいっとく?」

云いながらチビの肩に落としておいたイヤマフをはずして自分の首にひっかけ,赤いイヤマフを取って被せてみる。
うん,悪くなねぇ。

そんなこんなで買い物を終え,荷物軽減と俺様の防寒ってことでマフラーとイヤマフはその場で値札を切ってもらった。
それでも荷物は大概で,袋を抱えるとすぐ横を歩いてるチビの姿が見えなくなった。
アイツのことだから勝手に離れてったりしねえってのはわかるけど,それでも見えないのは不安だ。
俺は腕に負担がかかるのを承知でなんとか片腕で荷物を抱えると,空いた片手をチビの方へ差し出した。

「ほれ」

何の反応もないので無理矢理首を捻ってチビの方を見る。
と,差し出した手と俺の顔を交互に見て,困った顔をしていた。

「なんつー顔してんだよ。手だよ手。掴めっての」

云いながらぶらぶらと伸ばした手を振ると,おずおずと伸ばされたちっこい手が,ぎゅっと俺の手を握り締めてきた。
握り締めるっつったって手の大きさが全然違う。
だから指は回りきらず,なんとも不安定な感じになる。
俺はちょっと迷った末に指を動かしてチビの手を離させ,「持ちにくいだろそれじゃ。好きな指一本掴め」とやり直させた。
しばらく迷った末に,チビが選んだのはどうしてか薬指だった。
でもまー今更変えろってのも面倒くせえ,と俺はチビに薬指を握られたまんま歩き出した。
左腕に大荷物。右手にはチビのちっこい手。
そんな状態でちんたら歩くってのは正直負担でしかなかったが,マフラーとイヤマフのせいで寒くはねぇし,たまに首を捻って見下ろすと,チビがなんでか嬉しそうにしてるので,そう悪い気はしなかった。