Who Killed Cock Robin?
「貴方は女の子の扱いが上手ね」
重ね合わせた手を上手く利用しながら、階段を三段下りて「ありがとう」と微笑ってその手を離した。
いつもなら、「どういたしまして」と彼も微笑みを返しながらそう言うのだけど、彼の思考は先程の自分の言葉でいっぱいらしく、そこまで気を回すことが出来なかったようだ。
数秒、反応が遅れて「あ、どういたし、まし、て」なんて、目を丸くしたまま言う姿が可笑しくて、思わず声を零してしまった。
「もしかして、からかってる?」
「あら、心外ね。今のは本気よ?」
彼の前を一度通り過ぎて、くるりと、回って。
「貴方と居ると、まるでお姫様にでもなったみたいだもの」
ぱちり、ぱちりとただ瞬きを繰り返すだけの彼の表情。
此方も表情を緩めて小首を傾げ「おやすみなさい」と、悪戯任せに頬にキスして、束の間の現の別れの挨拶を。
きっと私が部屋に戻って扉を閉めるまで、彼は動けないでしょう、ね。
顔を真っ赤にして足をもつらせながら自分の部屋に戻る彼と、上機嫌で鼻歌を歌いながら床に就く私。
Who Killed Cock Robin?
作品名:Who Killed Cock Robin? 作家名:ゆち@更新稀