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HappyBirthdayTaichi!

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克哉は目の前に積み上げられたプレゼントの山に思わず感嘆した。
今日は太一の誕生日である。
アメリカへ来てバンドとしてそこそこ売れてきた太一への
ファンからのプレゼントはけっして少ないものではなかった。
けして小さいとはいえないテーブルの上に、これでもかと言うほどに積みあがっていた。
ファンレターや花束に始まりケーキなどのお菓子やアクセサリーなんかも混じっている。
「さすがにすごいな。」
山になっているプレゼントの包みを次々に開けていく。
太一はこういった贈り物に興味を示すことがあまりなかった。
しかしせっかくファンから貰ったプレゼントをそのままにしていくことはできず、
代わりに克哉がこうしてひとつひとつ開封し中身を確認していく。
さすがに手紙を開けて読んだりすることはないが、
お菓子などは早めに食べてしまわないと悪くなってしまうし、
せっかく頂いたものを無下に扱うこともできない。
「あっ、これなんか太一に似合いそうだな。」
瀟洒な装飾に包まれた箱を開け中のブレスレットを取り出す。
シルバーでシンプルながらもアクセントのチャームがなかなかワイルドでバンドの衣装にも良く映えそうだ。
こうして時折物色をしながら次々とプレゼントをより分けていく。
「克哉さん、ただいまー。」
太一が仕事から帰って来たのは仕分けもだいぶ進んだころだった。
「おわっ、すげぇー。これ全部一人でやったの?大変だったでしょ?」
さすがの太一もテーブルいっぱいに広げられた目を丸くする。
手紙や品物ごとにきちんと分類され、しかも包装紙やリボンもきちん折りたたまれている。
「お帰り太一。それほどでもなかったよ。」
手付かずの包みのりポンを解きながら答える。
このお菓子おいしそうだな、太一よろこぶかな?とか、
こっちの太一に似合いそうだな~、
などと考えながら仕分けするのは楽しかった。
それになにより多くの人が太一の誕生日を祝ってくれているということが実感でき嬉しかった。
「ねぇ、これ見てよ、太一によく似合いそうじゃないか?」
先ほどのブレスレットを差し出して見せた。
てっきり喜んでくれるとと思っていたのだが、
意に反し眉間にしわをよせ面白くなさそうな顔をする。
突然の豹変に克哉は戸惑いが隠せない。
「克哉さんは俺が他の人からもらったものをつけてても平気なの?」
太一は不機嫌な様子を隠そうともせず詰め寄って来た。
「でも・・・、せっかくファンの方がくれたんだから、捨てたりするのも失礼だし・・・。
お菓子とかだって・・・。」
「じゃあ、克哉さんが食べさせてよ。」
開いた箱のケーキを掴むと無造作に克哉の顔にぬりつけた。
ぬらりとしたクリームの感触が頬を覆う。
「克哉さんおいしそう。」
自分の手と克哉の顔についたクリームを丁寧に舐めあげていく。
冷えたクリームの感触が暖かい舌によって拭い取られる。
「全部食べてもいいよね?今日は俺の誕生日だもん。」
端についたスポンジのかけらごと唇を貪っていく。
誕生日の夜は特別に長くなりそうだった。

作品名:HappyBirthdayTaichi! 作家名:天戯