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ワンコも風邪引く

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太一が風邪引いたのはアメリカでの生活が始まってしばらくしたったときだった、
突然の生活環境の変化のせいもあるだろう。
克哉の方はバレーをやっていて体力もあったためかまったく問題なかった。
歌い手にとって喉をやられるのは致命的だ、
なのでここ数日間はつきっきりで看病を行っていた。
「太一、大丈夫?」
ベッドで横になる太一の顔を覗き込み手で熱を測る。
まだちょっと平熱より高いようだ。
「う゛ー・・・、だいぶマシになったかも・・・・。」
いつものような元気のないかすれた低い声で答える。
今でこそ返事ができるまで回復したが、
昨日まではホントにひどかった。
病院に連れて行ったほうがいいのではと思ったが、
保険証もなにもないし、なによりお金がない、
そのためか大丈夫だからと太一は主張して引かなかった。
しかし高熱が続き、うなされて食事もろくにとれない状態になると、
さすがに克哉も危険だと感じはじめ、
明日もこの調子なら無理にでも病院に連れて行くべきだ、
そう決意した矢先の今日、
幸いにも熱も引き始め、
起きて簡単な食事を取れるほどにまで回復した。
「ほら、無理しないで。まだ今日は一日は寝てなよ。」
身を起こそうとする太一をベッドの中に押し止める。
「かつやさん・・喉渇いた・・・、おみずー。」
布団の中から訴えてくる。
病人を相手に不謹慎かもしれないが、
普段は明るくて元気な太一が
こうして大人しくしている姿は新鮮だった。
なにより潤んだ瞳で甘えてくるところが可愛いくて仕方ない。
「はいはい、ちょっと待ってね。」
冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出しベットへと戻る。
「大丈夫?起きて飲める?」
ペットボトルを差し出しながら太一はだるそうに布団から顔をだし克哉を見つめる。
「う゛~、克哉さん飲ませてー、口移しで・・・。」
「そこまで言えるなら大丈夫だね。」
わざと突き放すように軽くいう。
「・・・ちぇ~。」
肩をすくめ拗ねるがいつもの覇気はない。
自分を心配させまいと普段通りに振舞おうと軽口を叩いているのがわかった。
(もう・・・、しょうかないなぁ。)
苦笑いをしながら軽く息をつく。
「太一。」
声をかけると、ペットボトルをあおって水を一口含む。
布団をめくるとそのまま太一の唇へ自分のものを重ねる。
驚いて固まっている唇を舌でこじ開けゆっくりと口内へ水を流し込んだ。
「まだいる?」
唇を離し太一が水を嚥下するのを見計らい尋ねる。
「克哉さん・・、風邪うつっちゃうよ。」
言葉の割りにはうれしそうにしている。
「そしたら太一が看病してくれるんだろ?だから、早く治してくれよ。」
そう言い期待をするように微笑んだ。
作品名:ワンコも風邪引く 作家名:天戯