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もしもシリーズ その1 恋愛だってしてもいいよね。

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小夜は、朱食免なんて欲しくなかった。

ただ、人間と普通の生活を送り、苦楽を共にすることを望んでいた。

少なくとも、文人が作った偽りの世界は小夜にとって、夢にまでみたものだった。

そして今、小夜は刀「村正」を手に文人の前に立っている。

「小夜、勝者には褒美を、敗者には罰を・・・」

文人はそう言うと、小夜の刀を手に取りそのまま抱きしめた。

刀は心臓を貫き、そして文人は死に小夜は消えた・・・・。




そして、悪夢のような事件から10年後・・・

小夜は東京である人を待っていた。

「遅い、奴は何をしているんだ。
そもそもなぜこんな場所で待ち合わせを・・・。」

そう呟いた小夜の後ろから、抱きしめるようにして、生きてるはずがない文人が耳元で囁いた。


「それは、小夜と一緒にデートしたいからに決まってるだろ。」

「文人!!」

「小夜はすぐに、物事の合理性を考えて無駄を省く癖があるからね。
少しは、人間らしくデートと言うものを体験してもいいんじゃないかな?」

「それはっ・・・、お前が10年たっても同じようなことをするからだろ。
文句も言いたくなる・・・。」

「ふふっ、小夜のことが好きだから、いつまでも愛し合いたい僕の気持ちがわかってくらないのかな?」

「~~~~っ、お前はっ・・・」


小夜はこのとき程、自分の10年前の判断を後悔したくなったときはなかった。



10年前・・・・・



小夜が文人の心臓を貫き、消えていく中、自分と同族になってまで愛そうとした文人の気持ちを聞き、あることをした。

それは、とっさの判断で何故そうしたかはわからないが、小夜は自分の腕から出ている血を口に含み、文人に与えた。

それは、死に際に小夜に口付けした文人への思いを返したかったのか・・・、後に文人いわく「あの時の小夜は白雪姫にキスをする王子様だったよね。」と真面目に頬を染めて言われ、小夜はかなり引いた・・・。


だが、文人がどれだけ小夜の血を飲んでも同じ存在になれなかったのに、小夜自身が認めて与えた血は文人を小夜と同じ存在に変えるものとなった。

また、このときから文人は小夜に対して、狂愛の他に忠誠心を持つようになった。
結果、それは人の世界では生きられない性格になったともいえる(ただし、もともとの気質をさらに助長させたような物だと文人自信は考えているが・・・。)



そして現在・・・


「小夜は、最近さらに僕に対して冷たくなったと思うな。
僕は小夜を愛しているし、この世でただひとりの理解者だと思っているのに・・・・。」

「冗談を言うな、気持ち悪い。
私は、お前を同族にしてしまった責任と、今回の件でお前を一人にしたら何かしでかすんじゃないかと思って監視してるだけだ!

勘違いするな!!」

そう言って、小夜は文人の腕から逃れて、一人先にいってしまった。

本人は気づいていないだろうが、顔を赤くして・・・

「ふふっ、小夜はやっぱり可愛いな。
世界でただ一人美しく孤高の存在、僕はそんな小夜と一緒に生きれるこの世界を今は感謝してるよ。」

そう呟き、文人は小夜のあとを追いかけた。

この時の様子を、道行く人たちには、ただのバカップルにしか見えなかったそうだ・・・。






おまけ


「小夜の初恋って、僕?」

「知らない。ただ、死なないで欲しいと強くおもったのはお前がはじめてだ。」

「ふ~ん、じゃあ告白はされたことなかったの?」

「告白?・・・・無いと思う。」

「そう。(偽の記憶の時も恋愛事には鈍いように感じてたけど、まさかこれほどとは・・・)」

注:小夜は昔、百人一首に書かれるくらいには好かれています。(ちなみに、その一句は恋愛もの)