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これは立派な死活問題だ。

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おい、誰か。
誰かいないのか。

この男を止められる奴はいないのか。


(こいつは立派な死活問題だ。)


世界には色んな人間がいるだろう。
要領の良い人や悪い人。お金持ち、貧乏人。

色んな問題を抱えた人がいると思う。

その中で十年前の俺は要領が悪いだけの一般人だった。
だけど今の俺は要領が良くてお金持ちの部類に入ることが出来た。
目の前の豪華なソファーに躊躇もなく足を伸ばして寛いでいる男のお陰で。

「ねぇ、」

俺の問いかけには答えずに変わらず書物を読んでいる。
そんな反応分かりきっていたから、俺も構わずに続けた。

「もういいよね」

その言葉は向けられた奴にしか分からない。
だってそれは奴だけに言っているのだから。

何がもういいって、リボーンのことさ。

人を自分の玩具にして遊ぶのはいい加減にやめてほしい。
今だってほら聞いておくれ。俺は被害者なんだってこと。

その証拠に俺の手首には──手錠。

先に言っておくが俺の趣味ではない。
そしてこれは、リボーンの趣味である。

これのせいで仕事が溜まる一方の日常。
俺の両脇には書類の束というか山束。
目をくれたくもない枚数に溜息が漏れてく。

最近はあまり気にしないようになったがはっきり言うと迷惑だぞ。

そんなことを心の中で思っているとやっと動きを見せた。
かと思えばリボーンは俺が座っているデスクの前で止まる。

そしてニヤリと良くない笑みを浮かべて言ったんだ。

「お前は自慢の生徒だ」

俺の顎を持ち上げて、俺の唇に形の良い唇を重ねる。
ついでに銀色の手錠にもキスをして格好良く去っていく。

バタン、と扉が閉まったのを見届けて俺は真剣に考えた。

「うーん……どうしよう」

手錠は外されない。手錠の鍵はアイツが持っている。
俺が最後に寝たのは二週間前と通算して十数時間。

このままでは書類が溜まるばかりでしかないわけで。
やっぱり俺はこのままでは死んでしまうかもしれない。

だけど恐怖を感じないのは何故だろう。
今思えば相当なことな感じがしてきた。


ねぇ、これってやっぱり……大変な問題だよね。


end.