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あいつはろくでなし

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カーテンから光が差し込み、朝がきた。

「よし、」

まだ少しだるさが残る体に鞭打ってベッドから出ようとした時だ。
俺をこんな無力な体にした元凶がまだ俺に何か用があるらしい。
昨日散々弄ばれたその長い指がゆっくりと俺の頬を求めてきた。

「…どこへいく」

頬にあてられた手が温かくてホッとした。
そして不機嫌な声音を聞いた体が疼く。

「別に」

どこにもいかないよ、と嘘を吐いた。
本当はベッドから抜け出して仕事をするつもり。

今日は二人ともようやく一緒の休日。
だけど染み付いた習慣はなかなか掃えない。
いつものように執務室に直行するはずだったのに。

「俺よりも紙切れの整理なんていい度胸だな」
「仕事なんだから仕方ないだろ」
「今日は休みだろ。お前の悪い癖だぞ」

そう腕を引かれ俺はまたベッドの中に戻された。

感が効くこの男はいつも気付いてしまう。
俺が何かを仕掛けたりしても見破ってしまう。

そして、何度も俺を落とすんだ。

「そうか、まだ足りなかったんだな」
「もう、いい…っ」

動いていないとまた熱がこもる面倒な体。
こんな不便になるのはこいつ抱かれた後だけ。

「リボ、」

重ねられた唇から全てが奪われる。
もう、何もかも通用するものがない。

俺を押さえつけて、魂まで貪るような。
まるで本物の死神のような奴。

「俺様の愛をたっぷり受けとれよ?」

いいや、違った。この男。
死神よりもタチが悪いかもしれない。


(あいつはろくでなし)
溢れるほどの愛だけを押し付けて、俺をこんなにも離してくれない。


にやり、意地の悪い笑みを浮かべる。
お前の言動と行動の何もかもがエロイんだよ。
fin.
作品名:あいつはろくでなし 作家名:煉@切れ痔