白い夜を壊さないで
長い長い、歳月というなの時が流れて世界は変わっていく。
私は囚われた無力なもの
明かない夜はない、そして明く白はない。
今自分にあるのは、この白い世界だけ。
「…君が欲しいな」
そう目の前で無気力な私に笑いかける貴方は可哀相な人。
読めないその欲深い瞳に私がどう映っていようと構わない。
──貴方はもう、捕まえているはずです
「はい、私は白蘭様のものです」
私が犠牲の代わりになれるのならそれでいい。
開かれた瞳の色は欲望に駆られた色其のもの。
「嘘だ。だってユニは…って、違うや。そうじゃないよ」
違うと言う貴方、何が違うと言うのですか。
貴方は私を捕えて閉じ込めたでしょう。
足音も立てずに近付く貴方に声を上げて怖がることも出来ない。
ただの「女王」として座らされた王座から逃げることも叶わない。
もう私は姫ではいられない
「僕は、君の「心」が欲しいって言ってる」
「……私の心も白蘭様のものです」
「それも、嘘…だよね?君の心はいつも、僕以外の誰かに向いてる」
見上げてみた純白な神は何故だかとても悲しい顔をしていた。
笑っているのに眉が歪んでいて、少しでも扱間違えたら壊れてしまいそうで。
「ユニ、」
見下ろされる私は思ってしまいました。
なんて、可哀相な人。
なんて、脆い人なんでしょう。
「ユニ、抱きしめて」
こんな白い世界に一つ、真っ黒な色が混じっているのは私の所為。
こんな白い世界に一人、様々な情という色を押し殺しているのは貴方。
「白蘭様の仰せのままに…」
私を人形にしたのは貴方、でも愛してくれたのも貴方。
「ユニ…」
幾多の星が流れようとも、これはどうしようも出来ない。
どうしようとも思えずに、ただ貴方と居ることだけを思う。
この止まったような時間の中では、私はただの人間でいたい。
そして……貴方に、「人間」であって欲しいと思うのです。
──それは、いけないことでしょうか…?
(白い夜を壊さないで)
ああ…もし「私」が此処にいたのならば、この人を包むことが出来るのに、
fin.