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ちょ~短編 スマイルプリキュア! ─はなさかむすめ─

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好きな人


  
むかーし、むかし。といっても6、7年ばかり前の話です。
とあるところに、それはたいそう可愛い可愛い小学生の女の子がいました。
そうとだけ聞くとお廻りさんに通報されてしまいそうですが他意はありません。

名前は星空(ほしぞら)みゆき。
女の子らしいピンク基調の衣服、なんとかというパンの形に似たおさげ、ニコニコ笑顔が特徴です。
常にほのかに赤くてプニプニしてて、周囲の人たちを幸せにしてくれるような明るく元気な良いほっぺです。

どんなほっぺだ。
それはともかく、そんなほっぺ…もとい笑顔に魅入られた男の子がいます。
名前は田牧(たまき)としはる。
これといった特徴もない普通の見た目の子ですが、ちょっとだけプライドが高くて、
自分は大人だと背伸びするようなお年頃のようです。

また、としはる君には、同年の幼馴染の女の子がいます。
名前は保坂(ほさか)ふみえ。
本が大好きで物静か。でも口を開けばとしはる君も大人も顔負けの気の強い娘でしっかり者です。

そんなふみえちゃんとみゆきちゃんは、小学校の入学以来の親友です。
幼馴染と行動を共にする事の多かったとしはる君は、必然的にみゆきちゃんとも行動をする事が多く、
としはる君は、いつの間にか星空みゆきちゃんの事が好きになってしまっていたのでした。
とは言ってもみゆきちゃんから一方的に話はしてくるけど、恥ずかしくてとくに仲良く話すわけでもなく。
ただ成り行きで一緒にいるだけみたいな勿体無い関係なのでした。このツンデレめが。

時は流れて時期は小学4年生。まったく、小学生は最k(ry
ふみえちゃんの本好きの性格に影響されて、みゆきちゃんも本を読むのが好きになりました。
といってもふみえちゃんが手にしてるような「雑学図鑑 知って驚く!街のギモン」みたいな
漢字ばかりのは読めっこないので、ふみえちゃんオススメの絵本をたくさん読みました。
4年生にもなって漢字もなかなか覚えられない彼女への冷やかしのつもりでしたが絵本に大ハマリ。
さすがに今の年齢の時期だけだろうと思ってましたが、未来数年このハマリが続くことになり、
ふみえちゃんは何か取り返しのつかない事をしてしまったのではないかと常々不安と後悔に思うのでした。

今日もまた何度目かの『シンデレラ』を、学校の図書室で読み終えたみゆきちゃんは両手を組んで天井に。
伸びをし年齢の割にこるはずのない肩のコリをほぐし、相席で読書中のふみえちゃんに遠慮なしに声をかけます。
「シンデレラは何度読んでも結末はハッピーだし、読んでるわたし達もウルトラハッピーだね!」
「そうね。わたしだったら舞踏会以前に夜逃げして淫らな商売に就いてたかもしれないわ」
みゆきちゃんには、ふみえちゃんが何を言ってるかチンプンカンプンです。
パジャマパーティーの時もそうでした。あ、流れ星!とみゆきちゃんが見つけるとお願い事をしました。
ふみえちゃんは何をお願いしたのと聞くと、「どうか電車の中でキスしたカップルがみんな別れますように」とか。
いつものことなので、いつものようにスルーして一方的に話を進めることにします。

「シンデレラも王子様も幸せになれていいなぁ。ふみえちゃんも好きな人と一緒になれたらウルトラハッピー?」
「………そうね。でも一緒になれる事はできても、気持ちまでは一緒とは限らないわ」
読んでいた本から目を明後日の方向に反らし、ふみえちゃんはなぜか欝な声で吐きました。
天真爛漫なみゆきちゃんですが他人の気持ちは敏感に察しやすいです。
恋話になると必ずというわけじゃありませんが、ふみえちゃんはたまに不機嫌になります。
今回ふみえちゃんが少し元気をなくしたように思えてそれ以上は何も言わないでおきました。
「そういうみゆきはどうなの。好きな人いるの?」
「えっ……?ぇぇえええぇぇえー!!?」
場所をわきまえてはいるので、みゆきちゃんの悲鳴は控えめのボリュームながら動揺は隠せません。
「そういえば一昨日に貸した消しゴムをなくしてくれたわよね。賠償金として答えてもらうわ」
「そ、そんなぁあ~!!わたしのお小遣いが22円しかないのを知っててそれはずるいよおー!」
気に障るしょーもない事を言わされたふみえちゃんの反撃が始まりました。

二人の会話は図書室に数人しか他の生徒がいないとはいえ、割とヒソヒソ声としては聞こえてきます。
内容までは聞き取れないといった程度です。
……でも二人からおよそ3メートル離れた席に、窓からの日差しを背にして机に突っ伏す生徒がいたのです。
彼…田牧としはる君にだけは、たぬき寝入りで二人の会話を図らずとも盗み聞きしてしまった格好でした。