いばらの森
「…そうして、お姫様は悪い魔法使いの呪いで、かわいそうに、長い長い眠りにつくことになってしまいました」
「…おひめさまが、ちょっと、ばかなんじゃないの?そんなあやしいヒトのこと、うたがわないなんて。じゅうごさいにもなって」
「…あらあら。…我が家のお姫様はこの分なら心配要らないわね。よかったわ…お母さん、安心」
「あったりまえだよ!そんなにおばかさんじゃないもん」
「…でも、忘れないで、わたしのかわいいお姫様。あなたがもしも悪い魔法使いの恐ろしい呪いに捕まってしまっても、きっと、あなたの王子様が来てくれるとお母さんは思うの。その人はもしかしたら、もう生まれていて、あなたを守るために強くなっているところかもしれないし、あなたを探して、旅をしているかもしれないわ。でも、きっと出会えるって、お母さんはそう思うの」
「…おうじさまなんかいなくても、へいきだもん。おばかさんじゃないし、つよくなるんだもん」
「…いいえ、いいえ、わたしのかわいいお姫様。よく聞いて、お母さんの言葉を覚えていて。あなたのための王子様がいないなんて、そんなことがあるものですか!」