二人と一匹の事情③
その際、二人は互いに声を掛け合う。
ただそれだけ、それだけの事なのにその時その場に居合わせた全ての人は動きを止める。
「ご、獄寺君!?」
が、少ししていち早く放心状態から立ち直った少年が2人の少年の内、彼の右側にいる方の少年にに驚きを隠せない声で呼びかける。
「どうしました?十代目」
その声に、呼び掛けられた少年は体ごと向き、かしこまった様子で問いかける。
「いつの間に、雲雀さんとそんなに親しげになったの?」
「ぇ、」
「え?いやいやいや!『何言ってんの?アンタ』みたいな目で見られてもっ!」
「今なんと、おっしゃいました?」
「・・・、どうやって雲雀さんと親しくなったの?」
「親しくなんかないっスよ?」
「えーと・・・?」
「いや、だから、親しいわけじゃありませんって。」
「そのわりには最近ヒバリにつっ掛かる事減ったのな!」
「(山本いつの間に!?)そうだよね。」
「あー・・・、えっと実はこんなことが有りまして。」
獄寺は、大まかに雲雀との間にあった小さな出来事をかいつまんで説明した。
「へー(少女漫画にありそうな展開だなー)。」
「だから最近服装とか違反してないのか。」
「まぁな。」
「なんだ、オレてっきり獄寺君がヒバリさんを好きになっちゃって健気に努力していたのかと思ってたよ。」
「んなっ!?」
「あ、オレも同じなのなー。」
「野球馬鹿、テメぇもかっ!?」
「あははっ、獄寺君顔赤いよ?」
「十代目、勘弁してください!何度も言いますけど、別にあいつのことが好きだから応接室に毎日のように通ってたとか有り得ませんからねっ!」
「「(ツンデレ)!?」」
「どうかしました?」
「あー、なんでもないよ?」
「なら、いいですけど。」
半ば、腑に落ちない様子で獄寺は引き下がる。
「・・・で、先からお前の背中にしがみ付いてんのがその猫か?」
「はぁ?しがみ付いてる?」
3人の内一際背の高い少年の指摘に怪訝そうな表情を浮かべながらも、獄寺が自身の背中を撫でるように探れば確かに拳ほどの大きさの生温かいものが触れた。
「って、そんなとこに居たのか漆(うるし)!」
「それって、その猫の名前?」
「えぇ、なんかオレが付けようとしたら雲雀の野郎がすごい猛反対して・・・」
「(二人で名前決めるとかどこの新婚だよっ!てゆーか、小鳥にヒバードって名前付けるような人に却下される名前って)・・・。」
「どんなの考えたんだ?」
「訊いちゃったー!?」
「瓜2号。」
「「・・・。」」
「えっ!?そんなに変でしたか?」
「う、うーん・・・なんていうか」
「あぁ、」
「ちょ、その生暖かい目は何ですかっ!?」