counting a sheep
無機質な時計の針が時を刻む音。
眠れない夜、毛布を頭まで被りながら聞くその音は何故か恐怖感さえ覚える。不安さを掻き立てる音というのはこういうのなんだろうか。
真っ暗な世界でただただ規則的なリズムで時を数えている、その音。
何かが起こりそう。
何か、嫌な予感がする。
何か、嫌なことを思い出しそうな気がする。
そんなことばかり考えて、不安は一層募る。ぎゅっと強く目を瞑った。隣で寝ているザックスの服の裾も同時に強く掴むと彼の腕が自分を包む。
トクン、トクン。
彼の心臓が刻む心音、規則的な寝息は恐怖感などもたらさない。むしろ恐怖感を拭ってくれる。
クラウドは静かに目を開けた。
真っ暗な世界で刻む二つの音と音は頭を無にして聞けば、アンビエントミュージック。そこには安心感しかない。
それに気付けば一瞬にして幸せの象徴のような時間に変わる。
先刻までの不安は皆無だ。
「クラ…寝れないのか…?」
彼が瞳をうっすら開けて、クラウドに問う。
「大丈夫…もうすぐ」
(もうすぐ夢に落ちる)
「そっか…おやすみ」
彼のおやすみを聞いて、クラウドはゆっくり目蓋を下ろした。
作品名:counting a sheep 作家名:泡盛