もし、夜天の主に幼馴染がいたら 1 二人の日常
はやての1日は朝食作りから始まる。
いつも6時くらいに起床して、大体その10分後くらいにはもう朝食を作り始めている。
トントントン――――とリズミカルに食材を切っていく。
朝はいつも和食だ。
今日は鮭の切り身に玉子焼きと豆腐の味噌汁。
2人だけなのでそんなに時間はかからない。
朝食を作り終わる頃に刹那も起きてくる。
「おはよう、はやて」
「おはよう、刹那君。もうちょい待ってな。あと少しで朝ご飯できるから」
2人は挨拶を交わし、朝食も後は盛り付けるだけとなっていた。
それから2人で朝食をとり、刹那は学校へ行った。
はやては朝食が終わった後は食器の片付けをしたりしてからは出来る範囲で掃除や洗濯をした。
その後はまた趣味である読書をした。
読書の後は通信教育を受けているので勉強をしたりしていた。
はやてが解らないところは刹那が帰ってきてから聞いたりするので解る範囲だけやっていた。
そうやってはやての1日は過ぎて行くのだ。
そして、刹那が帰ってくる時刻になるとはやてはある仕度をする。
「ただいま~」
「おかえり~」
刹那が帰ってきてからいつも買い物に行くのだ。
その為の仕度を先程していた。
「ちょっと待ってくれな。とっとと着替えてくるから」
「大丈夫やで。そんなに焦らんでも。時間はあるから、ゆっくり着替えてきてぇな」
刹那は制服姿だったので私服に着替えに自分の部屋に入った。
それから数分後、刹那の着替えが終わり2人でスーパーへ行った。
「なぁ、今夜は何がええ?」
「ん~・・・・はやてが作るものなら何でもいいんだよなぁ」
はやての質問に答える刹那。
「そんなん、答えやない!具体的に答えてくれんと刹那君の晩ご飯だけなしにするよ?」
「それだけは勘弁してくれ・・・・そうだなぁ。オムライスがいいな!」
はやてに脅されながらも夕食の希望を言う刹那だった。
「わかった!じゃあチキンオムライスにしよな!」
「おう!じゃあまずは肉売り場だな」
そう言って2人は夕食に必要な食材を買い揃えて帰路に着いた。
買い物をしている時の2人の様子は周りから見るととても仲の良い姉弟だった。
家に帰ってからは2人とも少し休憩をしてから夕食作りを行った。
夕食は2人で一緒に作ることにしていた。
刹那曰く「いつかは自分で作れるようにならなきゃいけないから・・・・だから今覚えるんだ」との事である。
そのいつかが近い将来に起きるとは思わずに・・・・
そう言いながら2人で夕食を作り上げていった。
「じゃあ、いただきます」
「いただきます」
こうして2人だけの食事が始まった。
夕食の時は刹那がその日起きたことを語り、はやてが勉強で解らない所を後で教えて欲しいと頼んだりして楽しんでいた。
こうして、夕食の時間も終わり風呂に入るのだが・・・・
ここにいるのは脚が不自由な女の子と健康な男の子の2人だけ。
他に女の子がいるわけではないので自然と刹那がはやてを抱えて風呂に入るのだ。
刹那にとってはそろそろ辛い時期でもあったりする。
だがはやてはそんな事を気にせず風呂に入っていた。
お互いの背中を流し、2人で湯船に浸かったりしていた。
刹那の辛い時間はあっという間に終わり、2人は勉強をしていた。
はやては刹那から解らないところを教えてもらい、刹那は教えながら宿題をやっていた。
それが終われば寝るだけであった。
「ねぇ、刹那君」
「なんだ?」
だが、今日はやては普通には寝ようとしなかった。
「今日、一緒に寝えへん?」
「なんで?」
はやての発言に嫌そうに聞き返す刹那。
「ええやん。たまには一緒に寝ようよ」
「やだ・・・・」
刹那は断固として拒否した。
だが・・・・
「お願い。たまには、ね?」
「うっ・・・・」
(そんな上目遣いで俺を見るな!そして可愛らしい声で言うな!)
刹那ははやての仕草にたじろいでしまった。
そして、その上目遣いの前に遂に折れた。
「わかった・・・・わかったからその仕草をやめろ・・・・」
「ほんま!ありがとな刹那君!」
そんなやりとりをした後、2人は眠りについた。
だけど、刹那は眠れるわけがなく、翌日は寝不足の状態で学校へ行ったのはまた別の話。
作品名:もし、夜天の主に幼馴染がいたら 1 二人の日常 作家名:タキゲン