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ベン・トー~if story~ vol.2

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5部 初デート


東区との抗争が終了し、俺と槍水先輩が付き合い出してからしばらく経った。
佐藤達に俺と先輩が付き合っていることを伝えた。最初は驚いていたが、すぐに祝福してくれた。
それからはまた、俺は部室に入り浸るようになり先輩や佐藤達は連日、半額弁当争奪戦に参加しては着々と戦果を挙げていっていた。
そんなある日のこと。奢莪がやってきた。
「あれ、アンタだけなの?」
「皆はまだ来てない。それより、いきなり来たりして何の用だ?」
「……アンタと魔女って、もうデートくらいしてるんでしょ?」
「何だよ、藪から棒に」
「デートしたの、してないの?」
「……いや、都合が中々合わなくて…まだなんだよ」
「えっ、まだデートしたことないの!?」
「あぁ」
「んー……なら、ちょうどいっか。これなんだけどね」
すると奢莪は何やらチケットを取り出す。
「それは?」
「むっちゃハワイやんパークってテーマパークのチケットよ。これ使って魔女とデートに行ったら?」
むっちゃハワイやんパーク…。聞いたことくらいはある。確か、プールとかあったな。
「って、プール!?」
「?どしたの?」
「い、いや…何でもない」
「……はは~ん、さては魔女の水着姿を想像したわね?」
「そ、そんなことは…」
「隠さなくたっていいってば。彼氏なんだし彼女の水着姿を見たいのが普通よ」
「で、それを使えと」
「そういうこと。あと何枚かあるんだけど、佐藤達は私が別に誘っておくから。楽しんできなさい」
「わかった。ありがとう」
こうして俺はチケットを手にいれた。

俺にチケットを渡すと奢莪は退室して、間も無くして先輩が部室に来た。
「藤島、早いな」
「先輩、こんにちは」
ここで俺は先輩を誘ってみることにした。
「あの、先輩…今度の休みなんですけど…一緒にここに行きませんか?」
俺はチケットを出して先輩に見せる。
「これは、むっちゃハワイやんパークの…」
先輩は一瞬考えた後、
「行こう」
そう言ってくれた。

そして次の日曜。
俺と先輩は電車に乗り、むっちゃハワイやんパークのある隣町を目指した。
途中、奢莪達を見かけた気がしたが、まぁ気のせいだろう。
それにしても…
「先輩、どうかしましたか?」
「え?」
「何か、落ち着かないように見えますけど…」
「あ、あぁ。済まない。実はな…」

「なるほど、それで…」
俺は先輩から、むっちゃハワイやんパーク限定の半額弁当争奪戦があるという話を聞いた。それで何かそわそわしてたのか。まぁ、そんな先輩も可愛かったから良かったけど。
「そうなんだ。その、せっかくのデートのところ悪いんだが…もしチャンスがあったら参加してもいいだろうか?」
「はい、もちろんです」
「そうか、ありがとう」
そして電車は駅に着き、俺と先輩は目的地へ向かう。

目的地に着くと中へ入り、俺と先輩は着替えるために一旦別れる。
着替えを終えてプールサイドで先輩を待つ。
「藤島、待たせたな」
「先ぱ…」
振り向いて先輩の姿を見る。綺麗だった。競泳用水着ではあるものの、ぴちっとしたそれが先輩の身体のラインを浮き彫りにしていて…俺は生唾を飲み込んだ。
「どうした?」
「あ、っと…綺麗だな、と思って…」
「……そ、そうか。ありがとう…」
顔を赤くして照れる先輩。やばい、可愛い。
そして先輩は準備体操を始めた。俺もそれに倣って体操する。が、先輩の方にチラチラと目が行ってしまう。
準備体操を終えると、二人でプールに入る。

しばらく二人で水を掛け合ったり競って泳いだりした後、俺達はプールから上がった。
「飲み物、買ってきますね」
そう言って俺は売店へと向かう。ジュースを二人分買って先輩の所へ戻る。
「先輩、どうぞ」
ジュースを手渡す。
「ありがとう。そうだ、お代を…」
「いいですよ、俺のおごりです」
「ん、そうか?なら、お言葉に甘えさせてもらうとしよう」
二人でジュースを飲む。

やがて、昼時になる。
「先輩…」
「あぁ。どうやら狼達が集ってきたようだ」
周りを見れば、見知った狼達の顔があった。そして、その中には…
「佐藤達だ」
やっぱり気のせいじゃなかった。佐藤、奢莪、白粉が揃ってここへ来ていた。
「あいつらも来ていたのか」
「みたいですね。あ…」
ふと見れば、今日の獲物の弁当が運ばれてくる所だった。先輩の目がそちらへ向く。
「狙いはどれですか?」
「…オムっパイ弁当だ。あれとロコもっこり弁当はここでしか食べられない限定品だからな」
オムっパイ、ロコもっこり……何か、ネーミングが狙いすぎな気がする…。と、先輩は佐藤の所へ向かった。多分、狙う弁当について話すためだろう。HP同好会は、獲物を被らせないのだ。俺もついていって話を聞いていると、やはりそうだった。

そして、半額神が弁当に半額シールを貼っていく。着ぐるみの腕を引きちぎってまで職務に励んでいた。
シールを貼り終えると、カプセルに入った弁当を水面に浮かべる。すると弁当が流れていく。なるほど、プールならでは、ってことか。
仕事を終え、半額神が去る。扉が閉まると同時に狼達は一斉に駆け出してプールへと飛び込んでいく。皆。水中で身動きが取りづらそうだ。
佐藤は奢莪と対峙していた。一時、佐藤優勢かと思われたが奢莪が佐藤の背に抱き付き、胸を押し付けたことで戦況が変わった。佐藤がその場で固まってしまったのである。まぁ、奢莪だしな。あんなことされれば、男なら大抵戦闘不能になるよな。一部は臨戦態勢になるだろうが。
先輩はといえば、他の狼と弁当をどちらが先に取るか、泳いで競っていた。しかしさっきも思ったけど、先輩、泳ぐの速いよなぁ…。
と、そんなことを思う間に、先輩が弁当を手に入れた。宣言通り、オムっパイ弁当だ。プールから出ると、こちらへ向かってくる。
次に目をやると、茶髪と呼ばれている女子の先輩が目に入った。スタイルいいなぁ。
他の狼と対峙している茶髪の後ろを少女が通り過ぎる。と、茶髪の着ていたビキニの紐がほどけて豊満なバストが露になりそうになった。世に言うポロリである。茶髪は慌てて胸を隠す。しかし、GJ!
そして先程の少女を目で追うと、あの子が通った場所で次々に災難が起きている。何なんだ、あの子は。疫病神なのか?
「死神、だな」
「え?」
横を見れば先輩が来ていて、あの少女についてだろうことを話す。
「死神…ですか?」
「そうだ。あの少女が来た狩り場は必ずと言っていい程に災難が起こるのでな。本来、実力のある狼のみに与えられる二つ名が特別に与えられているんだ」
「そうなんですか…」
何とも、恐ろしい少女だな。
そして、一際大きな叫び声が上がった。見れば佐藤が弁当を手にしているところだった。
そして、その下半身は…。
「……佐藤、お前は漢だよ」
俺は小さく、そう呟いた。

食事を終え、俺がゴミを片付けてプールから出て着替えを済ませると、駅へ向かい帰りの電車に乗り込む。
「藤島。隣に来てくれないか?」
ふと、先輩にそう言われた。俺は隣に座る。
「先輩、どうしたんですか?」
「いや何、こうしていたいと思っただけだ」
トスン、と先輩は俺の肩に上体を寄せてきた。
「先輩…」
「今日は、楽しかったな」
「はい」
「また、一緒に、出かけ…」
「?」
作品名:ベン・トー~if story~ vol.2 作家名:Dakuto