Angel Beats! ~君と~
「ーーーーーーーーー、ーーーーーー!」
「ーーー」
「ーーーーーーーー、ーーーーーー!」
「ーーーー」
「ーーーーーー!」
「ーーーーっ!?」
頬に涙がつたっていた。
「俺、何で、涙なんか・・・・・・?」
「お兄ちゃん、どうしたの?」
そこに真っ白な布団をかけている少女が不思議な目でこちらをみていた。
「いや、何でも無いんだ」
「そう?なんかすごい量だけど」
「そんな事ないよ。心配しなくて大丈夫」
「学校でいじめられてない?」
「ああ、大丈夫だ」
そう言うと少年は顔を腕で拭いた。
「なあ、それよりさ体調どうだ?」
「うん、手術したら大分良くなったよ」
「そっか、良かったなドナーが見つかって」
「臓器を提供した人に感謝しなきゃね!」
「そうだな、初音(はつね)。お前、小さい時から病弱だったからな」
ガラリ、という音がすると白い衣装に身を包んだ医者が入って来た。
「どうだい、身体の調子は」
「はい、先生のおかげでとても良くなりました」
初音はそう答えると笑顔をみせた。
「そうか、そうかそれは良かったね初音ちゃん」
「先生、本当にありがとうございます!」
あまりの嬉しさに声が大きく出た。
「感謝するべき相手はドナーにしておくれ。私はただ手術しただけじゃよ」
照れているせいか、先生は頭をかいた。
ここは病院。前の医者はそこそこ名が知れている所だと言っていた。数多くの患者を救ってきたらしい。
「でも先生はただ手術をしてくれただけじゃなくて手術代を無料にしてくれたではありませんか」
「まあ、その事は内緒にしておくれ。そんなのはさておき拒絶反応も無いことだし、もう退院しても良かろう」
「本当?ぃやったー!!!」
初音は嬉しさのあまりベッドを跳ねて跳ねて跳ねまくっていた。
「たぅぁだぁしぃ!」
「えっ!?先生他に何か問題でもあるんですか!?」
「もう1週間だけいてもらう!」
「え~」と初音は空気が抜けた風船のようにしょげた。
「なんだ驚かさないで下さいよ」
「もう1週間の我慢じゃよ。それじゃあ、私はこれで。あっそれとお兄さん?」
「はい?」
「名前、聞いていなかったのう。何て言うんじゃ?」
少年は少し深呼吸をし、
「結弦(ゆづる)、音無(おとなし)結弦です」
「結弦君か、妹さん大事にしてくれよ」
「はい」
少年の物語はここから始まる。
作品名:Angel Beats! ~君と~ 作家名:幻影