Angel Beats! ~君と~
「初音って言うんだ。よろしくね。初音ちゃん。」
「こちらこそよろしくお願いいたします!」
初音はまた深々と頭を下げた。
「そんなにかしこまらなくて良いのよ」
「あっ、はい!」
「ふふふ」
「あの話変わっちゃうんですがいいですか?」
「何かしら?」
「さっきの歌の題名は何ですか?」
「さっきのはね、『My Soul,Your Beats!』だよ」
「なんかカッコイイですね。題名」
「中身もカッコイイわよ。それに、私のお気に入りの歌なんだ」
「そうなんですか。ユイさん」
「なに?」
また笑顔を見せた。その際、口の八重歯が顔を覗かせてた。
「また話変わっちゃうんですがいいですか?」
「ええ」
「どうしてこの病院に居るんですか?特に怪我や病気をしていなそうなのに」
「それは・・・・」
急に笑顔が消えてしまった。
「ごめんなさい。変な事聞いちゃいましたか?」
「ううん、気にしないで」
また笑顔を見せたが、何かひきつっていた。
「私ね、体、動かせないんだ」
「え?」
初音はそうは思えなかった。こんなにも笑顔がいっぱいなのに・・・・・・。
「小さい頃、車にはねられて重体だったんだ。」
辛い事を話しているのに笑顔が消えていない。何故何だろう?と初音は思っていた。
「それで、何とか命をとりとめたんだけどね―――――、体、動かなくなっちゃったんだ」
「――――――!」
「ごめんなさいね。話、暗くなっちゃた。てへ」
「・・・・・いんですね、」
「?」
「強いんですね・・・・」
いつの間にか涙が目にいっぱい貯まっていた。
「どうして・・・・、そんなに・・・・笑顔を見せられるんですか?」
「・・・・・・・、初音ちゃん?」
「はい?」
「『神様』信じている?」
突然に疑問を投げられた。
「私は、信じているんだ」
「どうしてですか?」
「だってあんな事故に合っても生きているんだよ?」
「でも―――――」
「それにね」
初音の言葉を遮り、言う事を続けた。
「それに、時々夢をみるんだ」
「夢?」
「うん。それはね、誰かが私にこう言っているんだ」
「何ですか?」
「『ある日、俺が野球やっていてお前の病院の窓を割るんだ』って」
それで、どうなったんですか?と聞く初音。
「そこから先、分からないんだ」
「何でですか!それじゃあただのそこら辺の近所の悪ガキじゃないですか!」
「でもね、最後にこう言ってくれてるんだ」
「どう言ってたんですか?」
「『お前と結婚してやんよ!例え、どんなハンデを抱えていてもな!』て」
ユイは窓の外を見た。
「こうやって見ているとそんな気がするんだ」
「やんよって(笑)でも、良い夢ですね」
いつの間にか二人は笑い合っていた。
が、
ガシャーン!と急に窓が割れた。
「これって・・・・、ユイさん?」
(『窓を割るんだ。それから謝りに行くんだ。』)
「ユイさん?」
「え?ああ、ごめん。野球・・・ボールだよね・・・・。これって」
コロコロと転がって行くボールを二人は見つめた。
「夢、現実になっちゃた」
作品名:Angel Beats! ~君と~ 作家名:幻影