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雪割草

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「茜さんが早苗にそっくりだから、兄上も、平太郎殿に似てると思ったが似てないな。」

「あぁ。あっちの方が良い男だ。」

「あっ、後をつける。行くぞ。」

男の後をついて行くと、島原の門の中に入って行った。

「後は男の貴方に頼むわね。助さん。」
というとお銀は姿を消した。

「は?…あぁ、わかった。」
助三郎は一人、男の後をついて行き、しばらくすると、彼は店の中に消えた。
これ以上の詮索は無理と見て、店の名前だけ覚え、帰ることにした。




帰り道、早苗は疑問に思ったことを助三郎に聞いてみた。

「なぁ。助さん。島原って九州のほうじゃないのか?」

「あれだろ?島原・天草の一揆のことだろ?」

「そう。それと何か関係あるのか?」

「あの事件が起こった時に作られたからって説があるらしいがよくわからんな。」

「へぇ。案外適当だな。」

「でもな、ここは天下の遊郭だぞ。江戸の吉原、大阪の新地、京の島原。
有名どころだ。これは国の仲間への自慢になるぞ。俺は全制覇したからな!」

早苗はおかしいことに気がついた。
大阪には一泊しかしてない。
そんな所に行く暇はなかったはず。

「…お前、いつ新地に行った?大阪城見に行ったんじゃないのか?」

「あ…。ははは、格さん。そこは聞かなかったことにしてくれ。」

「なんだと?」

「じゃあ、俺は先に帰る!さらば!」

助三郎は形勢不利と見て走って逃げだした。

「待て!説明しろ!」

それを早苗は追いかけて行った。


作品名:雪割草 作家名:喜世