Angel Beats! ~君と~
「二人共、硬くならないでどんどん食べてね」
(何で、こんな事に?)
初音は食べ物を口に運びながら思った。
遡る事5時間前
「初音、準備は良いか?そろそろ引っ越しするぞ」
「うん。でさ、お兄ちゃん」
「何だ?」
「引っ越し先聞いて無いけど、何処なの?」
「先生の家」
「先生って、私がお世話になった?」
「ああ」
「ええ!?」
初音は驚いた。それは無理も無いだろう。退院して家に帰ると兄はこれから引っ越しするとか、家の物は無くなっているは、大変だった。
「何で?」
「先生がさ、『私の家に来ないか?』てさ」
「断らなかったの?」
「『家族が二人だけで大変じゃろ?それに甘えるなら、ドーンと甘えて来い!』て」
何で先生が家族が二人だけの事を知ってるの、と聞こうとしたが面倒くさくなるだろうと思いこれ以上は追求するのは止めた。
「そもそも何でわざわざここに来たの?先生の家に直接行けばいいのに」
「だって、名残惜しいと思うんだこの家と別れるの」
そう言うと結弦は何も無い家を見渡した。
「お兄ちゃんらしいね」
クスクスと初音は笑った。
「さてと、じゃ行くか」
「うん」
二人は初めての二人暮らししたアパートを後にした。
「で、先生の家の行き方は?」
「それが、分からない」
「どうするの」
「な~んてね、先生が迎えに来るってさ」
やり取りしている間に白い車が目の前で止まった。
そして先生が車から降りると後方のドアをわざわざ開けてくれた。
「さ、二人共乗って」
結弦、そして初音は車へと乗って運ばれて行った。
「そういえば、何で家族結弦君と初音ちゃんだけなの?」
「それは深い理由がありまして・・・・・・、」
「ごめんなさいね、私ったら。変な事聞いてごめんね結弦君」
「いえいえ、そんな事ありませんよ」
「結弦君、初音ちゃん」
はいと二人は返事をした。
「これからは、『家族』て思っていいんだよ」
『はい』
二人はここから新しい生活が始まって行く――――――――。
作品名:Angel Beats! ~君と~ 作家名:幻影