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金銀花

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「せっかくの婿殿のお出ましだ、見舞ってくれないか? けろっと治るかもしれん」

「はい! 治して見せます!」

「頼もしい婿殿だ」

 ウキウキしながら、千鶴は下女に連れられ香代の部屋に向かった。



 しばらく香代の母と美佳の話を隣で聞いていた助三郎だったが、千之助の姿が消えたことに気づいた。

「水野殿、千鶴は?」

「香代の見舞いに行かせましたが、何か?」

「……そうですか。少々失礼します。早苗、行くぞ!」
 
「へ? 失礼いたします」

 突然早苗は助三郎に引っ張られ、部屋の外へ連れ出された。
説明がない突然の行動に、早苗は怒った。

「ねぇ、何するの!?」

「シッ。見張るんだ」

「何を?」

「……千鶴をだ」

「どうして?」

 二人で揉めていると、屋根裏から声が聞こえた。それはお銀だった。
駆け落ち未遂の日からずっと香代につかず離れずにいた彼女から早苗に質問が投げかけられた。

「静かな部屋に若い男と女が二人っきり。一人はお布団の中、さてどうなるかしら?」

 結婚前は全く分からなかった早苗だったが、今は違う。
すぐに先輩、お銀の質問の答えがわかった。

「……そんなことないでしょ? お友達なんだから」

 助三郎はその回答を否定した。

「甘いな。格さんと由紀さんの関係とは話が違う。格さんはほんとの男じゃないからなぁ」

「へ?」

 よくわからない言葉に早苗はきょとんとしていたが、すぐに我に返った。
異常に真面目な夫から、妙な緊張感が漂っていた。

「……予想が当たってほしくないが、念には念を入れろってことだ。行くぞ」

 三人は天井裏に侵入した。
 
作品名:金銀花 作家名:喜世