幻の空に月に輝く7・修行の章・【日向の自己主張は白眼だ
「こんなガキに打てるのか?」
やっぱり似てる。天才と呼ばれる人間はどこかしら似る所があるのだろうか。
心底思いながら、私はチラリ、と父さんの方を見てみる。別にクナイを見せる分には全然構わないんだけど、見せた方がいい?という確認の意味も込めてね。
すると父さんは、一度だけ軽く頷いた。
あぁ、見せるんだね。
「見る気があるなら、付いてくればいい」
ふわりっと腰に巻いてある布を風に靡かせて、私はネジの問いには答えないまま背を向ける。
興味があるなら付いてくればいいし、無駄だと思うなら帰ればいい。
答えない代わりに態度で表してみた。
「流石ハニーの子。クールな感じが似てるよなぁ」
後ろの方で父さんがしみじみと呟いてる。
父さん相変わらずだね。流石にネジが引くんじゃないかなってチラリと様子を確認したら、案の定引いてた。
何だこいつと言わんばかりの目線で父さんを見てるんだけど、その気持ちはよっく分かるよー。
「チッ」
その後忌々しげな舌打ちが聞こえたんだけど、直後に続く足音からどうやら付いてくる事にしたらしい。
「本当にあるんだろうな」
「さぁ」
「……」
「俺の使いやすいものがある。アンタのは、知らん」
父さんみたいに商売じゃないから、所詮私の打つものは趣味しかないしね。それが分かったのか、ネジは何も言わずに黙って私の後をついてきてた。
何か、ちょっとイメージが変わったかも。
上から目線が標準装備かなっていうイメージがあったからね。
作品名:幻の空に月に輝く7・修行の章・【日向の自己主張は白眼だ 作家名:国見炯