Muv-Luv Alternative~二人の傭兵~
「不粋な事を聞いたな。すまん」
「いえ、構いません。それにライルも私と同じでしょう」
ふと頭の中に思い浮かぶ辛辣な言葉を喋る女性。俺が傭兵として出た時から一緒に戦場をくぐり抜けて来た存在。スミカと俺の関係もシルビア動揺家族のようなものだったのかもしれないな…。
「…あいつらは俺達が居なくても大丈夫」
「そうですね」
そうだ。あいつら二人は俺達が居なくても生きていける事なんて出来る筈だ。スミカに至っては元ACパイロットだった事もある。そこら変の人間に殺られるような存在じゃあない。心配するだけ無駄だろう。
「どうやら考えはまとまったようね。二人はこのままこの世界に留まる。それでいいのね?」
「ああ」
俺が小さく返事を返すと同時にシルビアも小さく顔を縦に頷かせる。
「っそ。それじゃあ貴方たちは私の下で働いてもらうわね」
「具体的にはどんな事をするんだ?」
「内容は今日と似通ったものよ。他の部隊に出来ない事を私達がやる。そんな部隊なのよ」
つまりは精鋭、エリート部隊、と言う事なのだろう。宗像を見れば分かるが確かにエリートと呼べる存在のような気はする。
「そういうことで貴方たちも機体をハンガーの方に回して頂戴。その機体で出撃する以上パーツの素材とか、全部流用出来るか見ないといけないから。…あぁ、安心しなさい。貴方たちの機体を世間に出す事はしないから」
「了解した」
俺の返事に満足したのか香月は社を連れ船内の方に戻っていった。その後ろ姿を確認してから俺達二人はACの中に戻り、先程ヴァルキリー中隊が向かったハンガーの方に機体を運ばせた。
作品名:Muv-Luv Alternative~二人の傭兵~ 作家名:灰音