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やる夫が強大な力に立ち向かうようです

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右手の中には、"かいふくのくすり"が握り締められていた。
これは、以前リーグ戦でやらない夫と戦ったとき、たった1個だけ残ったくすりだった。
それからは、特に強いトレーナーとは戦わなかったから、すっかりこれの存在を忘れていた。
「レイシャ、あと少しだお。やる夫のためにもがんばって欲しいお」
レイシャだって生き物だ。
くすりがあるからと言って、すぐ回復させて、さぁ行って来いなどと、レイシャをまるで戦いの道具のように扱うのは、やる夫には出来なかった。
せめてレイシャに一言断って、彼女自身の答えを聞いてから戦って欲しかった。
くすりを持つ手に、彼女の手が添えられた。
「はやくそれを使えって言ってるのかお?」
レイシャは頷いた。
やる夫は、
「ありがとうだお。」
とだけ言うと、レイシャの体にくすりを吹きかけた。
「なにチンタラやってる! そっちが来ないなら、こちらから行くしかないだろ! 常識的に考えて!」
サンダースが身をかがめ、後ろ足に力を入れているのが分かった。
「サンダース、全速力ででんこうせっか!」
その掛け声と同時に、サンダースは自分の電気をまとって突進してきた。
それも、いままでのどのポケモンのでんこうせっかより圧倒的に早い。
「レイシャ、すなかけだお!」
が・・・
「間に合わないお!」


今度は背中にモロに食らってしまった。
当たった瞬間、ゴロゴロ・・・という雷にも似た低い音が響いて、レイシャはまた遠くへ突き飛ばされた。
くすりはもう無い。
あとは2人のコンビネーションと運に頼るしかなかった。
だが、まだ策はある。
こういう時のために、レイシャととある新技の研究をしていた。
今がチャンスだ。
やる夫は決意して、遠くのレイシャに
「レイシャ! アレをやるお!」
と指示を出した。
「アレって、何だ・・・? なにをするつもりなんだ・・・」
すると、レイシャは体に氷をまとわせた。
手や足、胴体と、氷の鎧を作り上げたのだ。
極めつけは頭の部分。
一角獣のような、鋭い角を持った氷のヘルメットを作り出し、そのまま全速力でサンダースに向かって走り出した。

やらない夫は呆然としていた。
「それってありかよ!!!」
「ポケモン勝負にルールはないお!」
それがやる夫のモットーでもあった。
いつもこんな手法であらゆるトレーナーに勝ってきた。
そして、今回も・・・。


「サンダース、すてみタックルだ!」
「ムダだぉぉぉおおおおおお!」
両者の体は激しくぶつかり合い・・・
サンダースは空高く舞い上がった。
「レイシャ!、とどめのれいとうビームだお!」
レイシャの口から放たれた極太のれいとうビームは、サンダースの頭から尻尾の先まで、ガチガチに凍らせてしまった。




終わった・・・。
やらない夫がこおりなおしを両手にサンダースの元へ走った。
「大丈夫かお?」
一応心配はしておく。
親友だから。
みるみる内にサンダースを飲み込んだ氷が溶けていく。
「っへ! こんな攻撃じゃぁサンダースは落ちねーだろ!」
「ふん。まぁ、やらない夫がそういうなら、大丈夫だお」
「でも、2連敗に変わりない・・・んだよな」
また落ち込んだのか?
気にする必要はないのに。
「悔しかったらがんばって修行すればいいお」
少々挑発気味に言ってやった。
おまえのネガティブ発言はなんだか女々しいんだ、とも言ってやろうと思ったが、やめた。
本格的に落ち込むか、喉元を蹴られるかのどちらかだと思ったからだ。
「次は絶対に負けないからな! やる夫なんかに3連敗したら、おれはその時点でトレーナーを引退する」
「ま、せいぜい頑張れお」
やっと、やらない夫も調子を取り戻しつつあるみたいだ。
レイシャをボールに戻したところでやらない夫が聞いてきた。
「そういや、イーブイを持つトレーナーって、どこ探しゃぁ良いんだ?」
それは一番聞いてはならない質問トップ3のうちの2位だ。
ちなみに1位は、何人見つけたんだ?という質問。
これにはやる夫も、手持ち全部部屋に置いて、夜逃げしたくなるレベル。
「それが、やる夫も検討が付かないんだお。」
やらない夫は、
「そうか」
と納得し、続けて
「じゃぁ、何人見つけたんだ? さすがに1人くらいは・・・」
やる夫は立ち止まった。
そして、両目から大粒の涙を流しながら
「うわーーーん、やる夫は意地悪だお〜〜〜〜! おっおっお〜〜〜〜!!!!!」
と叫んでトキワシティ方面へ走っていった。
「なんなんだよ、アイツ・・・」
やらない夫もあきれた様子ではあるものの、
「おいやる夫! 待てって! 俺を置いてくなぁあああ!」
と全速力で後を追いかけていった。

そんな彼らを観察していた謎の人物が、通信機を口元に当て、
「見つけました。やる夫とやらない夫です。・・・はい。あの2匹のブイズは必ず・・・」
とだけ言うと、グレン島方面へ、ミロカロスに乗って海を渡っていった。



つづく。