ドラゴンクエスト・アナザー
そしてアルテナのギガデインと、カイのメラゾーマで攻撃し、激しい戦いの末ギルドラスを撃破した。
またもやギルドラスの体が崩れ始め、流体生物の形態になった。
今度は打撃も魔法も効かない最終形態であった。
しかも形を変えながら激しい炎と冷たく輝く息を吐き、時折三回攻撃を行う。
一行はマリアのフバーハと回復魔法による防戦一方になったが、アルテナは突破口を開くべくギルドラスの弱点を探した。
アルテナはふと天空の剣にある丸い穴のことを思い出した。
その穴に青い珠をはめると剣が青く光りだす。
その剣をギルドラスに突き刺すと、ギルドラスの体が青く変色していく。
何回も突き刺すうちにギルドラスの体全体が青く染まった。
アルテナがギガデインを撃ってみると、電撃がギルドラスの体を焼く。
アレフも剣で切りかかると、ギルドラスの体が切断された。
剣と魔法が通用するようになったのである。
アレフの剣とマリアのバギクロスで切り刻み、アルテナのギガデインとカイのイオナズンでギルドラスの”かけら”を消滅させていく。
ギルドラスも体をいくつもの触手に変え反撃するが、マリアがスクルトで無力化した。
そしてついにギルドラスは沈黙した。
ギルドラスを倒した!
みんなは抱き合って喜ぶ。
そのとき、ギルドラスの触手がアルテナを背中から貫いた。
アルテナが血を吐いて倒れる。
「このやろう! まだ生きていたのか!」
カイがメラゾーマで焼き払った。
今度こそギルドラスを倒した!
「セーラ! しっかりして!」
「マリア、ベホマは!?」
「だめなの! さっきからやってるんだけど、効果がないの!」
「なんでここまできてセーラがやられなきゃならないんだ」
「やっと、やっとギルドラスを倒したというのに!」
アルテナの青い珠を手に取って見たアレフが叫んだ。
「マリア! 青い珠が壊れている!」
「そんな! それじゃ回復できないじゃない!」
「ちきしょう。なんでこんなことに!」
アルテナが目を開けた。
「マリア……マリアのつけてくれたセーラって名前好きだよ……」
「セーラ!? あなたセーラなのね!」
「うん、私セーラだよ…… 早くみんなの村に帰りたいな……」
セーラはもう声を出すのも苦しそうである。
三人はセーラの手を握る。
それを見てセーラも三人に微笑んだ。
すると突然無限のオーブが光りだし声が聞こえてきた。
「私は時の精霊エルナ。精霊の子アルテナいえセーラよ。あなたはまだ死んではなりません。あなたにはやるべきことが残っているのです。青い珠は直りました。さあ、早く回復魔法を使うのです」
マリアがベホマを唱えると、青い珠が光りだしセーラは回復した。
今度こそみんなは心から喜んだ。
世界に平和が戻ったのだ。
セーラたちは旅立ちの村アルメリアに帰ってきた。
村の人々はみんなの無事を喜んでくれた。
「これから村を復興させないとな」
「なんたって勇者がいる村だぜ。みんなが集まってくるさ」
「あー、あたし眠くてもうだめ。その話は明日にして」
四人は早々に眠ることにした。
その夜中、セーラはベッドから起きあがり天空の武具を装備した。
「ごめんね、みんな。エルナ様が言われてた通り、無限のオーブを持つ私にはまだやることがあるの。今まで私がギルドラスに飛ばされた平行世界に行って、その世界のギルドラスを倒さなければならないの。全部終わったら帰ってくるから。それじゃ、お別れを言うとさみしくなるのでもう行くね」
セーラは深呼吸をして無限のオーブに力をこめる。
そしてオーブが光りだし、セーラは別な世界へと消えていった。
作品名:ドラゴンクエスト・アナザー 作家名:malta